2つ目の理由は?

 2つ目の理由は、そもそも税理士は日々の業務の中で、相続税に触れる機会が非常に少ないからです。

 税理士は日本全国に約8万人いますが、相続税の申告は年間約10万件しかありません。単純に人数で割ったとしても、1人の税理士が1年間で相続税申告書を作る件数は1~2件ということになります。

 さらに、10万件のうち、税理士に依頼せず、ご自身で申告書を作る方も一定数いますし、相続専門の税理士は1年に30~40件の申告書を作りますので、実際には1年に1回も相続税に触れない税理士がたくさんいることになります。

 通常、税理士が日々扱う一番の仕事は、会社の顧問業務です。日々の記帳や決算書の作成、法人税申告書を作成することが、税理士のメインの業務です。

 そのため、一般的な税理士事務所の場合、相続税関連の仕事は、年に数件、もしくはまったくやらないと割り切っている税理士もたくさんいます。

 このように「(1)相続税を勉強しなくても税理士資格を取得できること、(2)日々の業務で相続税に触れる機会が少ない」ことが、相続税に苦手意識を持つ税理士を多く生み出している原因と言えます。