なんと、「喘息患者の約47%がスギ花粉症を合併しており、そのうち約55%がスギ花粉飛散期に、喘息症状の悪化を経験している」(高知大学・横山彰仁教授)という。

 コロナ禍がはじまって以来、慢性疾患を持つ患者の受診控えはがん患者等を中心に問題視されてきたが、喘息患者にとっても、受診控えは重症化や難治化を招く大きな要因になると考えられている。

 本セミナーにおける横山彰仁教授(高知大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学/日本呼吸器学会理事長)と福永興壱教授(慶應義塾大学医学部 呼吸器内科)の講演より、興味深い内容をピックアップしてレポートする。

悪化した患者の7割近くは
「自己判断」で受診控え

慶應義塾大学医学部呼吸器内科の福永興壱教授
慶應義塾大学医学部呼吸器内科の福永興壱教授

 まずはコロナ禍での喘息患者の受診者数の落ち込みについて。福永教授によると、2019年に比べ2020年の医療機関の受診者数は3月以降、8割前後に減少していた。疾患の種類に関係なく、受診控えが起きていたわけだ。興味深いのは、受診者数を反映していると思われる薬の処方数の推移だ。

「喘息吸入薬の処方数は大きく減少していましたが、同じ慢性疾患でも糖尿病治療薬剤の処方患者数は横ばいで、変化がありませんでした」(福永教授)

 基礎疾患の中でも糖尿病は、新型コロナに感染した場合の重症化リスクが高いと言われている。それなのに処方患者数が減らなかった背景には、糖尿病診療のリモート化のしやすさというのもあるのかもしれないが、理由はそれだけではなさそうだ。

「海外のデータによると喘息患者さんの場合、COVID-19の流行中に約26%が増悪を経験しましたが、そのうち約76%の患者さんが医療機関を受診していませんでした。受診しなかった理由は、『COVID-19の感染が不安』が32.4%、67.6%は『受診の必要がないと自己判断』していました」(福永教授)

 喘息はコロナに似た呼吸器の疾患なので、「喘息患者が感染した場合、ほかの疾患よりも重症化しやすい」というイメージがある。喘息患者の受診控えには、そんなイメージも影響しているようだ。