喘息とコロナの関係は
どうなっているか

高知大学医学部呼吸器・アレルギー内科学教授/日本呼吸器学会理事長 横山彰仁氏
高知大学医学部呼吸器・アレルギー内科学の横山彰仁教授(日本呼吸器学会理事長)

 では実際、喘息に新型コロナウイルスはどう関係するのだろうか。横山教授は、「喘息は罹患因子でも重症化因子でもない」と関係を否定する。

「COVID-19入院患者に占める喘息患者の割合は922/1万7485で5.3%。米国、中国などの喘息罹患率は8.0%です。また、重症に占める喘息患者の割合は5.5%で軽症と差がありません。

 喘息はインフルエンザに比べて、COVID-19で悪化入院しにくいというデータもあります。米国のCOVID-19による入院患者に占める喘息患者は7.2%なのに対して、インフルエンザで入院する人に占める喘息患者は20%以上です」(横山教授)

 これはかなり意外な数字なのではないだろうか。さらに教授は続ける。

「厚生労働省はワクチン接種の際に優先される基礎疾患の1つとして、慢性の呼吸器の病気をあげています。しかし、日本アレルギー学会、日本呼吸器学会では、気管支喘息患者の新型コロナウイルス感染症の感染リスクならびに重症化リスクは、併存疾患などのリスク因子で補正した場合には喘息を合併していない同年齢集団と大きな違いがないと考えられることから、新型コロナウイルスワクチンの優先接種対象とする必要性は乏しいと判断しました。

 ただし、経口ステロイド薬を使用している、あるいはコントロール状態が不良である場合には死亡リスクが高い可能性があることから、『継続的な経口ステロイド薬治療を受けている者、あるいは吸入ステロイド等による治療を行っても喘息のコントロールが不良である者(過去1年以内の入院歴、あるいは過去1年以内に2回以上の予定外外来あるいは救急外来受診歴がある者、など)』はワクチンの優先接種対象とすることが妥当と判断しています」(横山教授)

 一方の福永教授は、「喘息と新型コロナウイルスとの関係は明らかになっていません」とやや慎重な姿勢を示した。

喘息の治療中断は危険
花粉症は特に気を付けたい

 両教授は共に、「喘息は継続治療が大切」と力説する。

 横山教授によれば、喘息は慢性的に気道に炎症が起こっている状態で、治療の中断や放置などで気道炎症を放置し発作を繰り返すと、気道のリモデリングが起こり重症化、難治化につながるのだという。

「リモデリングとは、炎症が長期に続くことで気道の線維化が進んで硬くなり、気道がせまい状態のまま、もとに戻らなくなることで、治療しても治りにくくなったり、重症化を招いたりする要因になります」