組織活性度が高い企業では
5つの要素が押さえられている
ごく簡単に言えば、(1)なにか新しい技能が身に付く、(2)一人で完結できる、(3)自分の仕事に意味がある、(4)自分で決められる、(5)ほめられ、アドバイスがもらえる、といった5つのポイントが重要であるということだ。
仕事を割り振る側としては、それぞれの点について以下の工夫をするとうまく動機付けにつなげることができる。
(1)スキルの多様性:職務を割り振る際に、その人の持つ技能に加えて何か新しい技能が加わる仕事を設計すること
(2)タスクアイデンティティ:できるだけ最初から終わりまでという全体性を持つ仕事の塊を割り振ること、それが無理なら、割り振った部分が全体の中のどのような部分であり、全体との関係性がどうなっているかをしっかりと伝えて理解してもらうこと
(3)仕事の有意義性:割り当てた仕事が社会に対して、会社に対して、そして当人の今と将来に対してどのような意味があるのかを考えてもらい、そこに意味を発見してもらうこと
(4)自律性:できるだけ自分で判断して意思決定できる自由裁量の範囲を広げるようにすること
(5)フィードバック:何かをやったあと、良かったでも悪かったでもなんでもいいからコメントしあうこと
これら5つの次元は、どんな仕事、どんな職場においても、簡単に実践できる。組織活性度の高い企業では、意識的、無意識的に上記の5つの要素が組織内に装填されている。一方、不活性な企業に限って、はやりもののコンセプトに飛びついては何も変わらないという状況を繰り返している。
また、上記5つの次元のなかでも、個人的に特に重要だと思うのが、5つ目のフィードバックである。かつてリクルート社で働いていた際には、企画部門が長かったこともあり、何かを実施すると四方八方からフィードバックを受けた。良かったと言われることもあれば、非難の大合唱を受けたこともある。改善の方向性の依頼もあれば、下からの突き上げもある。おかげで精神的にタフにもなれたし、それよりもこういったフィードバックをしっかりと受け止めることで、生産性向上や個人の能力向上に大きなメリットがあることを実感した。
そんなこともあって、フィードバックの組織的実装について、紹介できる良い事例がないか注目していたところ、最近出版された『ノー・ルールズ』(日本経済新聞出版) に書かれていた、ネットフリックスのフィードバックポリシーがとても実践的で素晴らしいと思ったので、紹介したい。