ネットフリックスが重視する
「4つのA」とは
ネットフリックスは、皆が率直に語り合うことで互いの成長と素晴らしい制作物が生み出されると考えている。しかしながら、人は自分のやっていることについて何かを言われることに否定的になりがちである。それを防ぐためAを頭文字にした4つのフィードバックポリシーを掲げている。
1. Aim to assist(フィードバックをする場合は、相手のためになることを)
相手のためになるように、ポジティブな意図のもとにフィードバックを行う。どんな風に行動を変えたら、相手や会社がよくなるかを説明する。
2. Actionable(フィードバックは相手が行動できることを)
どのようにすれば、聞き手の行動が変わるかに焦点を当てる。
3. Appreciate(フィードバックを受けた人は感謝すること)
批判を受けた際に、自分を防御したり言い訳をしたりしがちだが、受けた指摘と相手に感謝し、内容を尊重し、傾聴する。
4. Accept or discard(受け入れるか、受け入れないかは相手に委ねる)
すべてのフィードバックをよく聞き、考慮し、感謝する。しかし、そのすべてに従う必要はなく、それらをどう判断するかは聞き手(自分)が判断する。
さらに大事なことだが、自分の憂さ晴らしやマウンティングをするためのフィードバック(という名の文句)は許容されない。こういう嫌なやつは組織から排出される。ネットフリックスの素晴らしいコンテンツは、このような率直なフィードバック文化から生まれているのである(新規性はないが、これを文化にまで仕上げるところが組織の力である)。
大きな会社では、組織風土の改善活動のようなものが定期的に行われる。それはそれで価値がないとは言わないが、はやりの理論を持ってきて抽象的な議論に時間を費やすよりは、やれば必ず成果の上がる「ハックマンとオールダムの5次元」を職務設計の際に用いれば、格段に効果が上がるはずだ。そして、そこに「フィードバックを重視した率直な文化」を加えていきたい。
これらは必ずしも全社を巻き込む必要はなく、特定の事業部や課などで局所的に実施することも可能であるから、生産性向上や部下の成長を真剣に考える管理職はぜひチャレンジしてみてほしい。新しいコンセプトが出たらすぐに飛びついて大騒ぎする人との会話は適当にあしらい、まずは目の前のできるところから人と組織を変えていくことを強くお勧めする。
(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)