日本人の大多数は
インスリン用注射器で接種可能と推定

――ワクチンが注射器7本分取れるというのは、「インスリン用注射器だけで7本」ということでしょうか。

インスリン用注射器で7本インスリン用注射器で7本の例 写真提供:宇治徳洲会病院

 いいえ、普通の長い針の注射器を含めて7本分取れます。インスリン用注射器で7本分はもとより、インスリン用注射器6本と普通の注射器1本で取ってまだ0.1ミリリットルほど余ります。インスリン用注射器5本と普通の注射器2本も計算上は可能です。

――今回、なぜ、わざわざ7回接種できる事実をメディアに公表しようと思ったのですか。

 ワクチン1瓶で5人分のところを7人分取れれば、1.4倍に増えますから、たいぶ接種できる人数が違います。日本は当面、ワクチン不足が懸念されているため、この事実を広く、大勢の人に知っていただく方が世の中のためになると考えたからです。

――皮下脂肪が厚い人は接種が難しいと聞きました。どのくらいの肥満の方ですと、難しいのですか。また、インスリン用注射器で接種可能な人は、日本人の人口のどのくらいだと想定できますか。

 これは個人差があり、一概には言えません。例えば、ボディービルダーの腕はとても太いですが、皮下脂肪はほとんどありません。一方、痩せていても腕の皮下脂肪が意外に厚い人がいます。単純な腕の太さやBMIなどはアテにはならないのです。男性は比較的薄く、女性は比較的に厚いという傾向はありますが…。このため、エコーなどの器具で、皮下組織の厚さを計測してから接種する必要があります。

エコーで皮下組織の厚さを確認するエコーで皮下組織の厚さを確認してから接種する 画像提供:宇治徳洲会病院

 皮下脂肪が10ミリメートル以上で長針を使用することにしました。実際の接種では、これまでの4日間で807人にワクチン接種を行いました(3月10日時点)。このうち、エコーを実施した800人のうち、女性494人中・長針103人で20.9%。男性306人中・長針19人で6.2%という結果でした。全体では122人(15.3%)に長い針が必要でした

 こうしたことから、日本人の大多数ではインスリン用注射器と普通の注射器の混合で1瓶7人分接種できると推測できます。

 テルモがインスリン用注射器の針を13ミリメートルから16ミリメートルに長くして「ワクチン筋肉注射用」で製造するようですが、当院の経験では25ミリメートル以上皮下脂肪があって、より長い針を使用した例がありましたので、やはり個人差が大きいですね。