先日の調査プロジェクトが行った調査では、20〜59歳の男女約6700人のデータを分析。このうち、なんらかのつきまとい被害に遭ったと回答したのは約1割。また、「GPS監視」の被害があったと答えた人の中で、加害者が「交際相手・元交際相手」と答えた人は17.0%で、「職場やアルバイト先の関係者」(20.5%)と答えた人の方が多かった。最も多かったものの、「まったく知らない相手」(14.8%)「知っているかどうかもわからない相手」(11.4%)と回答した人も一定数いることなどから「いずれの被害においても、親密な相手以外からの被害経験が確認された。『恋愛』感情以外の動機による被害割合も、相当程度に上るとみられる」と分析している。
もちろん、まったく知らない相手から一方的に恋愛感情を持たれることもあるだろうが、つきまといのすべてが恋愛感情から来るとは限らない。たとえばSNSではしばしば、自分とは異なる主張をする相手や、言動が「気に入らない」といった理由から監視したり、嫌がらせのリプライを送り続けたりする行動が見られる。
内澤さんは会見の中で、議員らにこの点を訴えたところストーカー規制法で対応できなくても「迷惑防止条例がある」と言われたことを挙げ、次のように話した。
「しかし条例では接近禁止命令は出ませんし、これはやっぱりストーカー規制法で統一してもらえないかと思うのです」
加害者の更生プログラムが
ストーカーにはない
(3)は、加害者にストーカー行為を繰り返させないために、なんらかのケアやサポート、あるいは「治療」を行う必要がある点を指摘している。
「これを被害者が言い出すと不思議に思われることも多いのですが、被害者が加害者の存在におびえずに安心して生きていくには、加害者の凝り固まった怒りや執着を解きほぐして無害化するしかないのです。いろいろ考えたのですが、これが一番安心。
一生刑務所に入れておけというつぶやきも多いですが、現実的に不可能です。税金が多大にかかってしまいます」(記者会見中の内澤さんのコメントから)
性犯罪やストーカー行為の加害者は加害行為を繰り返すことが多く、また本人の意思に反して行為を繰り返してしまう場合もあることが知られ始めている。性犯罪の場合は刑務所内で更生プログラム(性犯罪者処遇プログラム)を受けられることもあるが、「ストーカーだけがそれもまだない」と内澤さんは指摘する。ストーカーの場合、たとえ警告や逮捕があった場合でも、同一の被害者への加害行為が繰り返されることが多いという問題もある。