3月に国土交通省が発表した地価公示は、新型コロナウイルスの影響の直撃を受けた京都市の観光地で下落が目立った。そんな中で4月下旬、住友不動産が商業施設「京都河原町ガーデン」をオープンする。最悪のタイミングにもかかわらず勝算を描く裏には、長年の「悔い」からの糧があった。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

地価13.9%下落エリアの近くで
新商業施設を4月にオープン

住友不動産が商業施設、京都河原町ガーデンをオープンする

 国土交通省が3月24日に発表した2021年1月1日時点の全国の地価は、訪日外国人観光客(インバウンド)に支えられていた商業地の没落ぶりが顕著に表れた。

 例えば、インバウンド向けのドラッグストアや飲食店が増えていた大阪市の道頓堀エリアでは、前年の調査で一昨年と比べて23.8%上昇していたが、今年は前年比28.0%下落。同様に一大観光地である京都市の中心部、祇園四条エリアでも前年は24.8%上昇したのに対し、今年は13.9%下落した。

 京都の地価が高騰していたのはホテル供給によるところが大きい。東京資本の企業がインバウンド向けホテルを建設する用地を相場よりもかなり高値で仕入れるなど地価高騰を引き起こしていた。それがコロナ禍の影響で一気に冷え込んだ。

 地価が大幅に下落した祇園四条にほど近い四条河原町の交差点にあるビルに4月、不動産大手の住友不動産が商業施設「京都河原町ガーデン」をオープンする。

 新商業施設が入るビルは地下1階、地上8階建てで、もともと住友不動産が保有。最近まで丸井グループの商業施設、京都マルイが地下1階から地上6階に核テナントとして入居していた。

 その京都マルイが、20年5月に10年間の定期借家契約が満了となり閉店した。丸井グループが撤退を決断したのは、新型コロナウイルスの感染が拡大する以前の19年11月ごろ。近隣の高島屋や大丸、藤井大丸、JR京都駅ビルにできた伊勢丹といった百貨店との競争激化が背景にあった。

 13年のアベノミクス以降、インバウンドの増加に伴い免税店大手ラオックスを誘致するなどして一時的に売り上げは増加したが、伸び率が当初の想定よりも低かったとみられる。

 これを受けて住友不動産は、自社商業施設として直接運営することにした。そう決断したのには、長年の「悔い」からの糧があった。