就職みらい研究所の調査(2020年6月12日時点)によると、21年卒学生の就職活動にかかった費用の平均額は8万8923円となり、前年の12万8890円を約4万円も下回った。内訳を見ていくと、最も減少したのは交通費で、前年の4万9467円から2万5567円にまで減少。飲食費も前年より5531円も減少して6957円となった。

「東京が拠点の企業でもWeb選考にしてもらい、時間や費用的に助かった」(北海道・東北/文系)という学生の声もあるように、21年卒の採用選考では、Web上での会社説明会や面接が増えたことが、就職活動費用にも大きな影響を与えたようだ。

 とは言いつつも、約9万円というのは学生にとって安い金額ではない。そんなときに親がスーツなどを用意してくれたり、金銭的な援助をしてくれたりするのは、学生にとって大きな支えとなったことだろう。

 また、1位になった「個性を尊重し、自分の活動を肯定してくれた」とともに、3位には「普段と同じ態度、見守り役、聞き役に徹してくれた」がランクインしていることから、学生は、親が自分を認めてくれる、話を聞いてくれることをありがたく感じていることが分かる。

 今回の調査を行った増本所長は、学生から寄せられた声から次のように分析する。

「『保護者とのかかわりでよかったこと』について、学生から寄せられたフリーコメントの中には、『ずっと励ましてくれた』『ただ話を聞いてくれた』というものが多く見られた。保護者がわが子に接する際には、『あなたのことを尊重しているよ』という態度を示すことがポイントといえるだろう」

親にされて嫌だったこと
1位・2位は「志望業種・職種に意見された」

 その一方で、就活生が保護者にされて嫌だったのは、どんなことだったのか。約7割の学生は親にされて嫌だったことは「特になし」と答えているが、約3割の学生が体験した嫌だった体験を見ていこう。

「保護者とのかかわりで嫌だったこと」の1位は、「志望業種について意見された」(14.7%)となった。さらに、2位は「志望職種について意見された」(10.9%)、3位「ライフプラン、キャリアプランについて意見された」(9.0%)が続いている。

 先ほどの「よかったこと」で挙げられた「話をただ聞く」「尊重してくれる」ことの裏返しである「意見される」ことへの嫌悪感が如実に表れる結果となった。