はじめまして。「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会」という長い名称のNPO法人の代表を務めております、辻 太一朗と申します。略称は「DSS」です。
会の主旨は名前の通り、就職活動と大学教育の間に存在するねじれを解消し、大学生が真剣に学業と向き合う環境を作り出すことでより良い社会にしていくことです。来年の5月まで隔週で、「不機嫌な就活」と題して時期に沿って、その時期の就職活動の現状とその問題点などについて書かせていただきます。是非よろしくお願いします。
さて第1回目となる今回は、「就職活動のスタートの時期」についてみなさんと一緒に考えたいと思います。
「企業説明会」と「大学の試験」が同時期に!
業界研究や自己理解不足のまま就活へ
実は昨年、一昨年までの就職活動との間で大きな変化が起きました。
それは、「就職活動のスタートが10月からではなく12月からになった」ということです。
従来は、学生が企業に名前を登録し、就職サイトなどを利用しながら企業側と連絡をとることが可能になる時期が、大学3年生の10月1日からでした。主な就職サイトとしては、「リクナビ」「マイナビ」「日経就職ナビ」などが挙げられます。しかし、昨年の大幅な変更により、その時期が2ヵ月遅れ、12月1日からになりました。
この変更の目的は、就職活動のスタートを遅らせることで、学生が学業に専念する十分な時間を確保し、より学業に向き合ってもらうというものでした。この流れは大学などからの要望によって高まり、経団連等の大手企業が集まった経済団体も賛同するに至りました。そして、就職サイトの運営会社間で協議して、就職サイトのスタート時期を2ヵ月遅らせることになったのです。
では、就職活動のスタート時期を2ヵ月遅らせた結果、本当に学生は学業に向き合うことができるようになったのか。私はできていない、むしろ悪影響を与えてしまったのではないかと思います。