内閣支持率が退陣水域の10%台に
野田首相には“大きな錯覚”があった?

 23日朝、田中慶秋法務大臣が“体調不良”のため辞任した。暴力団関係者との交際が発覚し、事実上の更迭と言われる。

 就任して3週間での辞任は野田佳彦政権に大きな打撃となることは避けられない。

 10月22日発表の朝日新聞世論調査では、野田内閣の支持率は、危険水域の20%台から、ついに退陣水域の10%台、18%に落ち込んだ。前回比5%減で内閣発足以来最低だ。

 民主党支持率は11%で3%減。対する自民党支持率は5%増の26%と民主党支持率の倍以上となった。今、解散・総選挙となると、小選挙区で生き残る民主党議員はほんのわずかに過ぎなくなる。自民党はこの数字に煽られて一段と解散要求を強めている。

 野田首相には、世論調査の推移を見て1つの錯覚があったのではないか。

 それは、消費税増税に突き進み、それを実現した直後までは、内閣支持率の相当部分が自民党支持者などによる党外からの援軍が支えていたこと。それがひと仕事を終えて自民党支持などに戻ったのである。この部分を単純に野田首相支持、民主党支持と思っていたとしたら大きな錯覚だ。ひょっとすると、野田内閣の支持率の10%近くが自民党など他党の支持者によって占められていたかもしれない。

 19日に開かれた民・自・公の3党首会談は、首相が解散時期を示さず決裂した。解散時期を党首会談で示すのは実に不見識な話だから、これはこれでよい。

 私はむしろ、この席での「政権の延命を図るつもりはない。条件が整えばきちんと自分の判断をしたい」という首相発言に注目している。

 これは、①一票の格差是正、②特例公債法の成立、③一体改革メンバーの人選が整えば解散か総辞職をするということだろう。あとは政治日程がそれを許すかどうかということだ。

 3条件の達成が遅れればこのまま予算編成に取りかかり、予算成立後、場合によっては通常国会の冒頭での総辞職も考え、いずれにしろ総選挙は自分ではなく、新しい代表で臨むことを示唆した発言だ。