膝の痛みに効く運動強度は?無理せず“ほどほど”でOK
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 中高年ともなれば、普段の生活でも膝に痛みがでてくる。その多くは「変形性膝関節症(膝OA)」だ。

 膝OAは加齢にともない膝関節のクッション役を果たす軟骨がすり減り、痛みや腫れが生じる現象。階段昇降や坂道で痛みが強くなり、痛みで正座が難しくなってくる。

 初期の進行予防策として、筋力トレーニング(筋トレ)が推奨されているが、どの程度の強度がいいのか悩ましい。

 米ウエイクフォレスト大学の研究グループは、18カ月間の高強度筋トレ群と低強度筋トレ群で、痛みの改善度と膝関節圧縮力(すねの骨に沿って生じる歩行時の圧力)の変化を比較した。参加者は377人(平均年齢65歳、女性40%)で、全員が軽度~中等度の膝OAと診断されている。

 筋トレは、レッグカールやレッグプレスなど下半身の運動が6種類、コンパウンドロウなど上半身と体幹を鍛える運動が4種類で、5分間の準備運動に続き、40分間の筋トレ、15分間のクールダウンというメニュー構成。

 高強度群は最初の2週間、最大負荷の75%強度で各8回×3セットを実践。その後は2週間ごとに負荷をあげ、9週目に個別のプログラムを設定し、次の9週間は個々の運動プログラムを継続した。低強度群は、最大負荷の30~40%強度の筋トレを各15回繰り返してもらった。

 結果として18カ月終了時の膝痛スコアは、両群間の有意差は認められず、膝関節圧縮力でも差は認められなかった。ただし、運動を全くしなかった集団と比べると、両運動群は膝関節の可動域が有意に大きく、痛み止めの薬の量を減らすことに成功している。

 その一方、筋トレにともなう“副作用”として「身体の痛み」(高強度群20件vs低強度群9件)、転倒(同11件vs6件)、筋挫傷(同8件vs2件)などが報告された。研究者は「本研究の結果は、高強度の筋トレを支持するものではない」としている。

 ともあれ、筋トレが膝痛を和らげ可動域を守るのは間違いないようだ。膝に違和感がある方はほどほどの負荷で筋トレを続けよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)