「韓国コスメは低価格なのに質が良く、コストパフォーマンスの高さが支持されています。日本の同じ価格帯のコスメと比べて、SNSで目を引くようなデザイン性の高さも、購入の理由になっているようです」

 韓国コスメが国内外の若者のニーズを満たせるのはなぜか。韓国に本社を構える化粧品ブランド・BONOTOX Japan株式会社代表取締役の崔仁熙氏は「韓国コスメの製造工程に理由があります」と言う。

「現在、韓国コスメはほとんどがOEM(相手先ブランドによる生産)で作られています。OEM受託側からブランドへ『こういうコスメを作りませんか?』と、新商品の企画の提案をすることも多い。その結果、各ブランドは販売のみに注力できますが、どのブランドの製品も同じOEMの工場で作るため、どうしても製品が似てきてしまうのです。そのため、各ブランドはあらゆる方面からの差別化を強いられます。たとえば、別の成分を追加して質を高めたり、容器のデザインに凝ったり、人気のインフルエンサーを広告塔に起用したりなどです。競争の結果、より高品質なコスメや、よりデザイン性の高いコスメが次々に生まれるわけです」

 しかし、こうした差別化は、大手ブランドだからこそ行える取り組みだ。資金力がない小さなブランドでは、価格を下げるという以外に、他ブランドと渡り合える強みを見いだしづらい。

「あまりにも価格を下げすぎてしまうと、ブランドとしての価値が失われてしまいます。そして、顧客離れが起きて、利益を出せなくなり、ブランドが消滅してしまうのです」(崔氏)

韓国ドラマのブームで
コロナ禍でも売り上げ増

 商品のライフサイクルは短く、次々と新商品が発売される活況の韓国コスメ市場。その勢いはとどまるところを知らず、新型コロナウイルスが世界的に流行した昨年も、市場規模が拡大したという。

「実店舗での売り上げは30%ほど落ち込みましたが、オンラインサイトの売り上げは大幅に伸びました。マスク生活の影響か、肌をケアする顔用のシートマスクや、目元用のメークアップアイテムの売れ行きが好調でした。オンラインでの売り上げはコロナ禍前と比べて6倍に増えました」(尹氏)