韓国企業はもともとECやデジタルマーケティングに強い。外出自粛でネットサーフィンをする人が増え、オンラインストアの売り上げ増につながったというわけだ。

 一方で国内のコスメブランドはコロナ禍で業績が落ち込んでいるところが多い。なぜ日本人は国内ブランドのコスメより、韓国のコスメを購入したのだろうか。BONOTOX Japan株式会社の常務取締役である岸和枝氏は「韓国ドラマブームが関係しているのでは」と分析する。

「日本で1回目の緊急事態宣言が発令され、全国的に外出自粛が求められた時期、Netflixなどで韓国ドラマを楽しむ人が増えましたよね。『愛の不時着』や『梨泰院クラス』が流行し、“第4次韓国ブーム”が訪れたのです。ドラマの影響で韓国のコスメや食べ物に興味を持った人たちが消費を支えたと考えられます」(岸氏)

 コロナ禍に到来した“第4次韓国ブーム”は、幅広い年代に支持されていることも特徴だ。

「2003年頃、『冬のソナタ』のブームで起こった“第1次韓国ブーム”は、30~40代の女性が支持していました。2008~2009年の“第2次ブーム”では、東方神起、BIGBANG、KARA、少女時代などのK-POPアーティストが人気を集め、若者のトレンドに。それから5年くらいして、TWICEやBTSの人気により“第3次韓国ブーム”が起こりますが、このときも、ブームの中心にいるのは若い世代でした。しかし、第4次では若い世代はもちろん、第1次の頃のようにミドル世代もブームをけん引している傾向があるのです」(岸氏)

 韓国よりも人口が多い日本のほうが、そもそもの消費力が高い。そこへ若い世代だけでなくミドル層も巻き込んだことで、単純に消費者の数が増えた。しかもミドル層は1人当たりが使う金額も大きいため、当然のように消費は拡大する。韓国コスメの売り上げが伸びたのも納得といえよう。