脳の「条件付け」を変更して
ツイてる「肯定的」な脳になる!
しかし、ご安心ください。
こういう場合は脳の「錯覚」を利用して自分はできる、ツイている、と、脳の条件付けを変更して「肯定的な脳」を作るのです。それは意外なほど簡単にできます。
たとえば、スポーツ選手でいつも対戦すると負けてしまう相手Aがいるとします。ふつうの思考であれば、対戦相手が「A」と聞いただけで、また負けるかも、とか、今回も無理だろう、と思ってしまいます。
しかし、負けず嫌いな選手、つまり「その気」の思考を持っている選手は、自然に「今度こそは絶対に勝つ!」と思い、自分の勝つシーンをイメージしたり、絶好調のときの自分のシーンを思い出したりして、「今度こそは勝てる!」「みんなに勝てるところを見せたい」などと試合を楽しみに、気持ちもワクワクできるのです。
すると、脳は、対戦相手が次も「A」だと聞いても苦手だとは思わずに「やった、雪辱のチャンスだ」と、思うのです。
私の長年の指導した経験と実績から言わせてもらえば、肯定的な脳を作るためには、プラスのデータを入力すれば脳は錯覚します。脳は、本当にあったことと、イメージなのかを区別することができないのです。
それは梅干しを思い浮かべればわかりますね。実際に梅干しを食べていないのに、食べたときのように唾液が出てきますが、これは脳が酸っぱい梅干を具体的にイメージしたからです。
ウソでもいいので、口に出して
ポジティブなことを言ってみる
そのイメージと同じで、たとえば失敗したときにはウソでもいいので、
「自分はツイてる」
「この失敗があって本当に助かった、次回に活かせる」
「今度はもっと上手くできる」
など、「口に出して」言ってみます。
内心、信じられなくてもいいのです。口から出た言葉が耳を通して脳に入力され、それを繰り返し行うことで脳はだまされ、失敗があったとしても「もっと上手くできるには今度はどうしたらいいのか」など勝手に考え始めるのです。ウソは1回つくとウソですが、100回以上もそれを繰り返すと「本当」に近づきます。
そして何度も繰り返しプラスのイメージを入力することで、感情脳=扁桃核の判断を肯定的に切り替えられるのです。「その気」が続かなくなりそうになっても「私はできる」「これが達成できたら」とできるだけ具体的なプラスの言葉を口にして、成功イメージをします。
具体例をあげましょう。私共が指導に入った、北京オリンピックの日本女子ソフトボールの選手は、いつも強豪のアメリカに負けてばかりいました。アメリカはそれまで世界選手権6連覇を継続中。通算116試合を戦って106勝10敗でした。
オリンピックでも3大会連続金メダルで「世界一」の座をゆずったことがありませんでした。オリンピック前の評判でも「日本女子ソフトボールは良くて銀メダル」といった評価がほとんどだったと記憶していましたし、「こんな強敵には勝てない」、そんなイメージがまったくなかったといったらウソになります。
しかし、プラスのイメージ、プラスの思考、そしてプラスの感情によって、扁桃核、つまり感情脳を変えた彼女たちは「絶対に勝てる!」と本気で「その気」になり、勝利をつかんだのです。
それには、プラスのイメージ(これはかなり具体的なイメージをさせます)、そしてプラスの思考、さらにプラスの感情、ボディランゲージをそろえてメンタルトレーニングをするのですが、もっと詳しい内容が知りたいのであれば、ぜひ本書「その気の法則」をご覧下さい。
では次回は、部下を「その気」にさせる叱り方です。
(次回の更新は10月30日を予定しています。)
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