新幹線の中で、クレーマーに言いがかりを付けられた!対応する側の車掌はどうすれば? Photo by sebastiaan stam(Unsplash)

 前回は、逃げ場のない新幹線の中で、自分が買ったチケットとは違う席に座っていた“輩(やから)”が、車掌に言いがかりをつけて怒鳴りつけたという体験談を紹介しました。

 クレーム対応の現場では、主導権は攻撃側(クレーマー側)にあります。クレームをつける側が有利で、対応する側は絶対不利な状況にあるのです。前回のケースでも、焦りから車掌が発した不用意な一言、「普通は~」という言葉尻をつかんだ、“輩”の一言で形勢が逆転しました。こういう人たちは、いちゃもんをつけるのが日常茶飯事で、クレームをつけ慣れています。そう、クレーマー側は、まるで大型の肉食獣のように暗闇でじっと息をひそめ、獲物のうかつな隙を待ち構えているといっても過言ではないのです。

 クレームをつけられる対応側(この場合は車掌)は、自分の不用意な一言で事態が動いてしまったことに焦り、

「上司や組織、監督官庁に報告(告げ口)されたら面倒なことになる」
「もしかすると叱責されるだけではなく、出世や将来に影響するかもしれない」
「どうしよう」

 などと不安になり、心が折れそうになってしまうのです。そのため、相手が言っている内容が理不尽だと思っても、相手の要求をのんで、妥協してしまいやすくなります。

 それでは、対応する側は理不尽な責め苦に、ただひたすら口を閉じ、耐えるしかないのでしょうか? 大丈夫です。対応する側はシンプルな一言で、敵意の牙を隠した相手を暗闇から明かりの下(公の場)に引きずりだし、自分の身を、心を守ることができます。

 今回は、新幹線での事例を振り返りながら、「では、車掌はどうしたらよかったのか?」について解説したいと思います。