ヘーゲルの哲学とは?

 考えてみれば、ヘーゲルの哲学はかなりいいかげんですよね。
 物理によく似ているのですが、物理には「作用・反作用の法則」がある。何かを押せば押し返されるという法則です。
 人間社会でも、一つの考え方があったら、それに反対する人がいる。
 ヘーゲルといえば「弁証法」が有名ですが、ヘーゲルは「弁証法」の理論を展開して、新たな段階に達することを「止揚(しよう)」と呼びました。

「止揚」とは、ドイツ語の「アウフヘーベンAufheben」の和訳です。
止まった後に揚がること、内在する性格や機能を捨てることなく進歩すること、といった意味合いです。

「アウフヘーベン」をおおまかにいえば、1階でケンカしていたのに、2階へ上がったら仲良くなれるようなイメージです。

 2階へ上がったら、どうして「正(新しいテーゼ)」と「反(アンチテーゼ)」が「正反合(ジンテーゼ)」されるのか?

 そのあたりはヘーゲルの著書にも詳しく説明されていないのですが、話を聞いているうちに、なんとなくその気にさせられます。

 しばらく経ったら2階でも対立が生まれ、今度は3階へ上がったら、またなんとかまとまる。それで永遠に階段を上がっていく。

 これをヘーゲルは歴史にも応用し、歴史も「正反合」でどんどん進化していくのだといいます。

 すると、なぜ「正」と「反」が一緒になるのかはよくわからないけれど、歴史が前に進んでいく形で世界のすべてを説明できるような錯覚を覚えてしまう。

 僕は、ヘーゲルを読んだ後に、ヘーゲルが参考にしたカントは何を考えていたのだろう、とさかのぼっていき、ついには古代ギリシャのプラトンまで、大学の1回生の1年間で読んだと思います。この青春の1年間に哲学に結構のめり込んだ気がします。