箇条書きひとつで、
評価されてしまう理由
最初から最後までベタ書きだったら、上司はどうするか。最後まで読まないで読み飛ばすか、「要点をまとめろ」「結論は何だ?」と呼び出すのが普通だろう。
ビジネスではスピードが求められる。トップや結果にこだわる人ほど、時間を大切にする。時間を粗末にするような相手には手厳しい。
事実、企業の経営者だと、資料の最初に箇条書きで要点がまとめられていないと、内容がどんなによくても、そのプレゼンにイライラし途中で相手の話を止めるのはよくあることだ。
緊急の場面でそのような非生産的なことを繰り返せば、「使えないやつだ」と、自らの評価を落とすことになる。
箇条書きが評価を決めるのは、ビジネスだけにとどまらない。
例えば、就職活動もそうだ。採用担当者の中には、提出されたエントリーシートや履歴書にある箇条書きを見て、その出来が悪いと「仕事をさせても、伝えるのが下手な人なのだろう」と色眼鏡で見てしまう人もいる。
伝え方ひとつで、その人の将来が左右されるのだ。
忙しい上司や経営者、採用担当者に共通するのは、「箇条書きができないやつは、たいしたことができない」という認識だ。自覚的なものか、無自覚的なものかはそれぞれだが。箇条書きは、短く、魅力的に伝えることで人を動かす。
成果を出すための生産的な技術を身に付けていないのだから、箇条書きの完成度で人を評価することには、合理性がある。
たった数行の箇条書きがあなたの評価を決めてしまう。だからこそ、箇条書きを極め、世界で戦うための武器にできれば、あなたの前に道が拓けるのである。
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杉野幹人(すぎの・みきと)
A.T. カーニーマネージャー 東京農工大学工学部特任教授 東京工業大学工学部卒。INSEAD MBA修了。早稲田大学商学研究科博士後期課程修了。博士(商学) 大学卒業後、NTTドコモに就職。シリコンバレーで仕事を共にした500人以上の起業家のプレゼンや提案資料から、 箇条書き(Bullet points)で短く魅力的に伝えることのパワーとその技術を学ぶ。 世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを修了後に、 グローバル経営コンサルティングファームのA.T.カーニーに参画。 経営戦略、マーケティング戦略、新規事業、経営会議運営支援等の 幅広い経営コンサルティングプロジェクトを手掛けている。 箇条書きを用いた経営者向けのプレゼン・資料作成の経験は300回を超える。 現在は、箇条書きを基礎としたストーリーライティングの技術を東京農工大学でも教えている。 著書には単著として『使える経営学』(東洋経済新報社)、『会社を変える会議の力』 (講談社現代新書)、共著として『コンテキスト思考』(東洋経済新報社)がある。
凡庸にして最強スキル、それが箇条書き
「今話したことを、箇条書きにしてもらえませんか?」
学生や若手ビジネスパーソンと話していると、「流れるように話すが、何を言いたいかがわからない」という場面に出くわす。
しかし冒頭の質問をすることで、「なぜ意味が理解できないか」を明らかにできる。結論、あるいは結論に至るまでの論理の曖昧さが、箇条書きにすると一目でわかるからだ。
箇条書きを見れば、その人の思考、そして伝える力のレベルがわかる。
私は米国のシリコンバレーで、そして外資系のコンサルタントとして、グローバルビジネスの第一線の人たちと仕事をしてきた。ビジネススクール、INSEADのMBAプログラムでは、世界60カ国から集まった次世代のリーダーたちと一緒に学んだ。
彼らに共通するのは、箇条書きが抜群に上手いということだ。
箇条書きは、英語や会計、そしてロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキルだ。もちろん箇条書きという名称ではなく、世界的には「ブレットポイント(Bullet Points)」と呼ばれて使われている。
シリコンバレーで出会った起業家たちも、箇条書きを効果的に使う。プレゼンの最初と最後のページなど、鍵を握るところでだ。世界一ともいえるシリコンバレーの激しい時間競争の中で、目的や結論を短く、かつ魅力的に一瞬で伝え、投資家や従業員を動かしていた。
日本企業のビジネスパーソンが、目的や結論のわからないプレゼンを長々とし、相手に無視され、せっかくのチャンスを逃していたのとは対照的だった。
プレゼンというと、カラフルな図やグラフが並ぶものとイメージしている人も多いだろう。しかしプレゼンに限らず、人を動かすのに最も必要なのは「言葉」だ。その言葉を短く、魅力的にまとめた「箇条書き」がプレゼンの成否を握るのだ。
世界の最前線では、「短く、魅力的に伝える」ツールとして箇条書きが選ばれ、そして使われている。プレゼンに限らない。企画書・報告書づくり、メール作成、議事メモ、会議のファシリテーションなど、「短く、魅力的に伝える」箇条書きは、あらゆるビジネスシーンで使われている。
そこには共通の技術がある。わずか数行の箇条書きであっても、繊細で精巧な工夫が必要なのだ。
短く、魅力的に伝える箇条書き。そして人を動かす箇条書き。それらを『超・箇条書き』と呼ぶこととする。本書はそのエッセンスを伝えることが目的だ。
「たかが箇条書き」と、箇条書きを笑う者は箇条書きに泣く。目の前にあるチャンスを逃すことになる。たった数行の箇条書きで、あなたの明日が変わる。さあ、『超・箇条書き』のトレーニングを始めよう。
4万部突破のベストセラー!
『超・箇条書きーー「10倍速く、魅力的に」伝える技術』
シリコンバレー、戦略コンサル他、世界の最前線で、超一流は何をしているのか?
答えは「Bullet Points(ブレットポイント)」と呼ばれる“箇条書き”によるコミュニケーション。箇条書きは、英語や会計、ロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキルなのだ。
「短く、魅力的に伝える」。それが箇条書きの強みだ。
◆経営者や投資家を動かす「短く、魅力的な」プレゼン
◆無駄な情報がそぎ落とされた、企画書・報告書
◆ポイントが明確で、かつ一瞬で理解できるメール
◆意見が飛び交う会議をまとめるファシリテーション
箇条書きは、あらゆるビジネスシーンで活用されている。
そこには共通の技術がある。わずか数行の箇条書きであっても、
繊細で精巧な工夫が必要なのだ。
箇条書きを見れば、その人の思考、そして伝える力のレベルがわかる。
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