箇条書きひとつで、
評価されてしまう理由

 最初から最後までベタ書きだったら、上司はどうするか。最後まで読まないで読み飛ばすか、「要点をまとめろ」「結論は何だ?」と呼び出すのが普通だろう。

 ビジネスではスピードが求められる。トップや結果にこだわる人ほど、時間を大切にする。時間を粗末にするような相手には手厳しい。

 事実、企業の経営者だと、資料の最初に箇条書きで要点がまとめられていないと、内容がどんなによくても、そのプレゼンにイライラし途中で相手の話を止めるのはよくあることだ。

緊急の場面でそのような非生産的なことを繰り返せば、「使えないやつだ」と、自らの評価を落とすことになる。

 箇条書きが評価を決めるのは、ビジネスだけにとどまらない。

 例えば、就職活動もそうだ。採用担当者の中には、提出されたエントリーシートや履歴書にある箇条書きを見て、その出来が悪いと「仕事をさせても、伝えるのが下手な人なのだろう」と色眼鏡で見てしまう人もいる。

 伝え方ひとつで、その人の将来が左右されるのだ。

 忙しい上司や経営者、採用担当者に共通するのは、「箇条書きができないやつは、たいしたことができない」という認識だ。自覚的なものか、無自覚的なものかはそれぞれだが。箇条書きは、短く、魅力的に伝えることで人を動かす。

成果を出すための生産的な技術を身に付けていないのだから、箇条書きの完成度で人を評価することには、合理性がある。

 たった数行の箇条書きがあなたの評価を決めてしまう。だからこそ、箇条書きを極め、世界で戦うための武器にできれば、あなたの前に道が拓けるのである。

関連記事①仕事ができる人は「箇条書き」が抜群にうまい
関連記事②スティーブ・ジョブズも使っていた『超・箇条書き』のテクニック

杉野幹人(すぎの・みきと)
A.T. カーニーマネージャー 東京農工大学工学部特任教授 東京工業大学工学部卒。INSEAD MBA修了。早稲田大学商学研究科博士後期課程修了。博士(商学) 大学卒業後、NTTドコモに就職。シリコンバレーで仕事を共にした500人以上の起業家のプレゼンや提案資料から、 箇条書き(Bullet points)で短く魅力的に伝えることのパワーとその技術を学ぶ。 世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを修了後に、 グローバル経営コンサルティングファームのA.T.カーニーに参画。 経営戦略、マーケティング戦略、新規事業、経営会議運営支援等の 幅広い経営コンサルティングプロジェクトを手掛けている。 箇条書きを用いた経営者向けのプレゼン・資料作成の経験は300回を超える。 現在は、箇条書きを基礎としたストーリーライティングの技術を東京農工大学でも教えている。 著書には単著として『使える経営学』(東洋経済新報社)、『会社を変える会議の力』 (講談社現代新書)、共著として『コンテキスト思考』(東洋経済新報社)がある。