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開発をエンジニアだけに任せない。多様な人材による共創体制

 さらにAppleには多彩な人材がおり、「先端技術があるからこういう製品を作ってみる」のではなく「あるビジョンを実現するためにこのようなデザインや技術が必要」という考え方の下で、さまざまな部門が共創してプロジェクトを進めるようになっている。

 たとえば、Macintoshの開発チームには(時代ごとに変遷はあるはずだが)エンジニアだけでなく、保育士の資格や心理学の学位を持つスタッフもいたりした。これは、IT製品といえども、いわゆる技術オタクな人間だけで開発を行うのではなく、多様な観点からの発想や建設的な批判が盛り込まれる必要があるという考え方からきている。

 またデザイン部門の力が相対的に強く、全体的に見れば、そこで生まれたアイデアを技術の力で実現するというような流れが見られる。

 テクノロジーをエンジニアだけの手に委ねるのではなく、「自分たちが作っているのは、あくまでもさまざまな年齢・性別の人々が利用するものである」という前提で、落としどころとして一般消費者の半歩先をいく製品やサービスにまとめあげる。それが、Appleの成功を支えている考え方なのである。