自営業者が有利な点も多くある

 一方で、自営業者には定年がないので、元気な間は従来通りに働くことができる。サラリーマンが「定年後再雇用を選べば安い賃金で昔の部下に仕えなければならない」「転職すれば“郷に入らば郷に倣え”で新しい職場になじまなければならない」「起業するにはリスクを覚悟しなければならない」のと比べると、だいぶ恵まれていると言えよう。

 そうであれば、自営業者は元気な間は働こう。老後資金が不安なのであれば、最高の老後資金対策は、長く働いて引退後の余生を短くすることなのだと認識しよう。

 人生100年時代などといわれるが、今の高齢者は昔の高齢者より元気だ。サザエさんの登場人物である波平氏が54歳という設定だそうなので、連載開始当時の企業の一般的な定年が55歳であったことを考えて、「波平氏より元気な高齢者は働こう」というのが筆者の基本姿勢である。

 ただし、老後も働く意欲は重要だが、老後も健康で働けるとは限らない。老後を迎える前に健康を害して働けなくなるというリスクもある。体を壊したときにもある程度収入が保障されているサラリーマンと比べると、その点も弱い。

 そうであれば、若い時からしっかり老後資金を貯めておく必要がある。サラリーマンと異なり、年功序列ではないから、若い時から結構な収入がある場合もあろうし、そうでなくても貯蓄は必要だ。

 幸い、自営業者が貯蓄する際の税制上の優遇措置は、サラリーマン向けよりはるかに充実しているので、これを活用しよう。