金融庁が本腰!保険関連企業に「形だけのFD宣言」はもはや許されない

顧客本位の業務運営に向けて
本腰を入れ始めた金融庁

 2021(令和3)年4月12日、金融庁が「顧客本位の業務運営(=FD)」について、新たな方策を取ると発表した。すでにFD宣言を採択し、金融庁に報告している事業者は多いが、いったいどれくらいの事業者がこのことを知っているだろうか。

 この約3カ月前の1月15日、金融庁は「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書〜顧客本位の業務運営の進展に向けて〜」を踏まえて、「顧客本位の業務運営に関する原則」を改訂した。

 今回はその改訂に伴い、原則2〜7に示されている内容ごとに、取組方針との対応関係について報告することを求めたものだ。しかも、取組方針を実施する場合にはその対応方針を示し、実施しない場合には、その理由や代替案を示せというものだ。併せて分かりやすい表現で盛り込むことという注釈まで付いている。

金融庁が本腰!保険関連企業に「形だけのFD宣言」はもはや許されない金融庁の庁舎 Photo by Akio Fujita

 さらに近年、金融庁は「好事例と不芳事例」を比較分析し、ホームページなどで積極的に情報発信している。その事例には金融庁による分析のポイントが示されており、今回は全てのポイントについて記載は求められていないものの、「金融事業者は、自らの顧客本位の業務運営を実現するための取り組みを『見える化』するために、取組方針にどのように盛り込むのが適切か検討することが重要です」とある。

 後述するように、共通フォーマットに記入する方式だけに、各金融事業者の取り組み状況を容易に比較できるようになっている。

 むろん、期限についても決められており、役所の事務年度の終わりである6月末が提出期限となっている。では、金融庁の本気度と共に重要と考えられるポイントについて解説していこう。