SBIインシュアランス社長が力説、大手生保にはない「うちだけの好循環」

金融庁総務企画局審議官(市場担当)や財務省関東財務局長などを歴任して2017年にSBIグループに転じ、現在傘下に生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険会社を持つSBIインシュアランスグループ会長兼社長を務める乙部辰良氏。コロナ禍で生保・損保は大きな環境変化に直面しているが、どのように事業環境を捉えているのか。話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

人々はネットの便利さに気付いた
もう元には戻らず、定着していく

――SBIインシュアランスグループは、傘下にSBI損保やSBI生命、SBIいきいき少短など、多くの保険会社があります。新型コロナウイルス感染症のまん延に、どのような影響を受けているのでしょうか。

 昨年の4月ごろは、アフターコロナのビジネスがどうなるかを考えていました。ところが、1年以上経った今も、アフターではなくウィズコロナが続いています。

 健康不安や死に対する不安が高まり、さらに経済活動の低迷が続きました。従来通りの給料がもらえないなど、不安が高まりましたので、保険に対するニーズも高まったと捉えています。

 保険に関する潜在的なニーズ喚起がなされたことで、普段は生命保険や医療保険に対して全く関心がなかった人からも、問い合わせがありました。すでに保険に入っている人も、もう少し保険料が安い保険はないかと探すような気運もありました。

SBIインシュアランスグループ乙部辰良会長兼社長Photo by Toshiaki Usami

 私どもはインターネットを中心に販売しており、他社と比べて安い保険料を売りにしていますので、当社にとって潜在的なお客さまが増えたのではないかと思っています。

 当社でアンケートを行ったのですが、人々の節約志向や保険ニーズの高まりに加え、感染防止対策に関して重視していることとして、オンラインでのサービスを求める姿勢が鮮明でした。

 これは一過性の部分もなくはないでしょう。健康不安や死に対する不安、こうしたことは平時になれば収まるかもしれません。ただ、何かものを買おうとしたときに、ネットで比較してみようという行動は戻らないと思います。

 あまりネットでものを買わなかった年配の方などは、便利で安いということに、改めて気づいた方が多いと思います。在宅勤務で家にいることも多いですから、保険を自分で比較検討してみようということは、ある程度定着していくと考えています。