女性は亜流で、男性は本流?

 この吉田氏のツイートに対しては、「そうなんですね、するとタイトルが誤解招きやすいですね」「女かて少年漫画読むし、男だって少女漫画読む時代に、なんの線引きか、意味がわからない」などのリプライが飛んでいる。

 また、騒動がまとめられたtogetherには、次のように、問題を鋭く指摘するコメントが並んだ。

「『女は一流の批評家・読者・観客・ファンじゃない、女の作品は女流、亜流、男性が本流、“一般”』こういうの本当に本当にうんざりだよ。いつまでやるの?前世紀のミソジニーな価値観から抜け出せないおじさんたち早く引退してくれ」

「小学館が出す『日本短編漫画傑作集』で、少女漫画は対象外、選者も男性のみ、誰もおかしいと思わなかったのか。なお、講談社が以前出したアンソロジー「好きです、この少女まんが。」の選者は少女漫画家85人。青年・少年漫画のみだと堂々と「日本漫画」を名乗るのね」

「(略)何より、少女漫画を排した『短編漫画傑作集」が「日本」を冠しているの、有名無実すぎる」

 ジェンダーの問題に普段あまり関心のない方のためにも説明すると、男性向けの商品やサービスの場合は特に説明がなく、女性向けの場合だけ性別が強調されるパターンは、過去において非常に多かった。

 例えば、言葉一つをとっても「女医」や「女流作家」とは言っても、「男医」「男流作家」とは言わない。役者の場合、女性は「女優」、男性は「俳優」と呼称されがちだ。つまり、「女性モノ」や「女性」である場合は性別が強調されるが、男性の場合はされない。これは男性向けが基本で、女性向けはイレギュラー、スピンオフと認識されやすい社会通念の表れに他ならない。

 しかし、優れた日本文化の一つ「漫画」業界の場合は、昔から「少年漫画」と「少女漫画」がジャンルとしてそれぞれあった(性的自認の在り方が多様な時代において、そのジャンル分けが正しいのかはひとまずおいておく)。これまで、優れた少女漫画が生まれてきたし、少年漫画を描く女性漫画家も数多く輩出してきたことからも、「漫画」「漫画家」と言っただけでそれが「少年・青年漫画」「男性漫画家」のみを指すとは限らないというのが、多くの人の認識だろう。

 それなのに…である。

 吉田保氏の弁明は、「日本短編漫画傑作集」と銘打った作品集において、男性選者による少年・青年漫画だけを載せることに、何の問題も感じていない姿勢を明らかにしてしまっているのだ。