25歳の若者が人間らしく暮らすには
最低賃金が全国一律で1500円必要

 それによれば、25歳の若者が人間らしく暮らすためには、最低賃金は全国一律で1500円が必要だというのです。

 計算根拠としては、先に一人暮らしの25歳若者が必要な生活費を社会保険料込みで積み上げて「月25万円」と算出したうえで、それを週40時間労働で逆算したということです。

 まず、ここから二つの解釈ができます。一つは、現在の最低賃金で週40時間労働だと「月25万円」の水準に全然到達できないということ。そしてもう一つは、現在の最低賃金でその水準に到達するには、週60時間働かなければ無理だということです。

 この試算がもう一つ興味深いのは、従来必要とされてきた大都市圏と地方都市の格差は、以前ほどではなくなってきたという主張です。全国一律がいいという背景には、地方都市では自動車が不可欠で交通費を含めれば生活費が高い一方で、大都市でもチェーン店の発達で外食や衣類など物価が下がってきているという理由があるからだそうです。

最低賃金が高くて豊かな
オーストラリアで起きる現象

 さて、低い最低賃金で働く若者が増えている今の日本の状況では、デフレ経済からの脱却は難しいと思います。一方で、最低賃金が高くてかつ豊かな国の一つに、オーストラリアがあります。10年ほど前でしたが、シドニーに出張で出掛けたときにランチがあまりに高くて驚いたことがあります。日本だと1000円ぐらいの普通のランチが、どのお店でも日本円にしてだいたい2500円ぐらいしたのです。

 それで聞いてみると、お店のウェーター の時給が2000円ぐらいだというのです。オーストラリアの法律では、パートタイム従業員の最低賃金が19.84オーストラリアドルです。これは日本円にすると、だいたい1700円ぐらい。シドニーの生活は、給料も高いけれど物価も高いというわけです。

 とはいえ、幸福度の調査でみると、当時のオーストラリアは世界1位を3年連続で記録しているような状態でした。現在は、北欧諸国に抜かれてランクは落ちましたが、それでもオーストラリアは12位で、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスよりもまだ上にいます。ちなみに日本は62位で、全体の中位3分の1グループ、上下にいるのはジャマイカ、エクアドル、ボリビアといった国々です。

 そこから類推すれば、日本もオーストラリアのように最低賃金を1500円に上げれば、国民の生活水準も上がり、全労連が調査の前提にしたような人間らしい生活もできるようになるし、いいことが起きそうな気がしてきます。