「コロナ解雇」と「還付金」

 上記のケース以外でも、コロナ解雇などで退職を余儀なくされた場合には確定申告によって還付金を受け取れる場合がある。また、一般的には還付金が生じないとされがちな退職金にも、還付が生じるケースがあるため注意したい。退職金は金額が大きいことが多いため、給与所得以上に還付金がおいしいということも十分あり得るのだ。

1年の途中での退職は
還付金が生じる可能性大!

 1年の途中、特に早い段階で退職をして、そのまま12月末までに再就職をしなかったという場合は、還付金が生じる可能性が高い。給与やボーナスから徴収されている所得税は暫定的に算出されたものだからだ。

 例えば、それまで月に50万円の収入があった人が1月に退職をした場合、50万円×12カ月で年間600万円の収入があるだろうという前提で1月分の所得税が源泉徴収される。しかし、1月末に退職してその後は年末まで給与所得が得られないと実際の年間収入は50万円となり、前提と550万円の差が出てしまう。そのため、前提と実際の額との差分にかかる税額が還付されるのだ。

 また、給与から源泉徴収をされるときには生命保険料や地震保険料などの控除は考慮されない。会社員の場合、年末調整のときに会社がこうした控除を加えた上で1年分の所得税を算出してくれているのだ。

 12月時点で次の会社に入社している場合は次の会社で年末調整をしてもらえるが、12月時点で離職中である場合は自分で確定申告をすることになる。退職する前年まで年末調整で還付金がもらえていたという人は、退職年も自ら申告することで還付金が生じる可能性はかなり高いといえるだろう。

 確定申告に慣れていない人は面倒に感じるかもしれない。しかし、数万円から数十万円の還付金が返ってくることもあるため、しっかり申告したい。