サッカー幻のジャマイカ戦で見えた、東京五輪「選手が来ない!」リスク急きょ実現した親善試合で競り合うU24代表の久保建英(中央)と日本代表の原口元気(手前)と植田直通 Photo:Masashi Hara/gettyimages

サッカーのジャマイカ選手団の来日が、日本固有の“PCR検査ルール”のために遅れ、日本代表との国際親善試合が急きょ中止になった。開催が危ぶまれる東京五輪・パラリンピックが実現しても、同様のトラブルが起きれば大混乱につながりかねない。(ノンフィクションライター 藤江直人)

史上初の“日本代表同士”の対決
ジャマイカ代表が入国できず代替だった

 サッカー界のピラミッドの頂点に立つ日本代表と、東京五輪世代のU-24日本代表が札幌ドームで対峙した3日のチャリティーマッチ。テレビの地上波で生中継された“兄弟対決”は、経験豊富なA代表が貫禄を見せつけて3-0で快勝した。

 五輪の男子サッカー競技に23歳以下という年齢制限が設けられ、U-23代表というカテゴリーが創設されたのが1992年のバルセロナ大会。しかし、年齢制限がないA代表と強化試合が組まれたケースは過去に一度もない。

 勝って当然のA代表に大きなプレッシャーがかかり、強化にはふさわしくないという理由でおのずとタブー視されてきた。一転して急きょ実現に至ったのは、A代表と対戦する予定だったジャマイカ代表が「日本に来られない」という異例のトラブルに見舞われたからだ。