企業が迫られる
「認識ギャップ」の解消

 こうしたことを含め、学生が口コミサイトやSNSで得られる情報との「認識のギャップ」をどう解消するかが、企業にとってコロナ2年目となる今年の採用活動の課題でしょう。

 企業の公式情報がまとまった形で提示される最初のイベントが、合同企業説明会です。コロナ以降は、オンライン実施の方が学生の参加率が高く、弊社でもオンラインと対面のハイブリットイベントを実施しましたが、オンライン参加は対面に比べて15倍の人数でした。特に対面型の場合、参加すると1日つぶれます。当然、学生は自分の時間と労力を考えて、コスパがいいかどうかをシビアに天秤にかけます。

 一方企業側にとっては、オンラインの企業説明会は、ある程度就職の意志がある学生でない限り、よほどコンテンツが魅力的でなければ真剣に見てもらえないという難しさがあります。また、従来の対面形式なら、会場で通りがかりの学生に「ちょっと」と声をかける「袖引き」をして自社の魅力を説明できていたのですが、そうした機会もオンラインではありません。

 オンライン化で、都市部在住の人も地方在住の人も同じ企業説明会の動画を見られるようになったことは、企業と学生の双方にとって、これまでの情報格差を逆転するチャンスです。しかし、リアルな場での「袖引き」の機会が減っていること、オンラインで誰もが説明会を見るのが前提となって採用活動が始まるため競争が激化しがちなことから、採用力のない企業はますます集客が難しくなり、内定が出ない学生はますます内定が出にくくなるという、二極化も進んでいます。

 ちなみに「袖引き」の代替となるのが、近年勃興している「逆求人型サイト」「ダイレクトリクルーティング」といったサービスです。このようなサービスは、採用したい企業に対しては、「超優秀な学生のみを集めている」と言い、学生には「優良企業のみとマッチングする」とうたっています。しかし、一般的に大企業はそもそもそうしたサービスを使わないので、就活生はこのようなサービスに過度な期待はしない方がよいでしょう。

 また、このようなサービスの宿命でもありますが、登録者・登録企業が多くなりすぎると、闇雲に情報が行き交うだけでマッチングの精度が低くなってしまいがちです。