コンパクトな住まいのテレワーク環境(1)
デスクを買い足さずに作業スペースを作る

 まず、安易に家具を増やすことを考えてはいけません。

「ダイニングに、食事用テーブルとは別の作業スペースを作りたい」「幅や奥行きが小ぶりなデスクを、ダイニングテーブルの反対側に置くのはどうだろう」というご相談をこの1年で何度かお受けしましたが、どのケースも「お勧めはできない」と回答しました。デスクはぎりぎり入っても、狭く、使い勝手も不便になるのが十分想像できたからです。

 デスクとテーブルの間は100cm以上空きそうですか? 椅子に座った状態で、後ろを別の人が無理なく通れるくらいの余裕が取れないならやめたほうがよいでしょう。

 おすすめしたいのは、デスクスペースの「フリーアドレス化」。つまり、今あるデスクを時間帯で区切って、使う人や目的を変化させるのです。

 例えばお子さんの学習机。私が実際にスペース作りをサポートしたケースでも、お子さんは日々の勉強をほとんどダイニングで行っており、個室の学習机は置物状態でした。そこでお子さんご本人に了承を得て、日中はご両親のテレワークスペースとして活用させてもらうことにしました。机の上はすっきり整理して、仕事用のディスプレーも常設させてもらいました。

 ただし、あくまでお子さんのエリアを大人にシェアしてもらう話なので、交渉は慎重に進めてくださいね。

 ダイニングテーブルもフリーアドレス化にぴったりの場所です。しかしながら、「既に書類が山になっていて手狭」「食事の前に、その都度片づけなくてはいけないのが面倒」という理由から、気が進まない人も多いようですね。

 そういうご家庭は、そもそも、ダイニングテーブルが幅120cm程度の小サイズなのかもしれません。それなら、今の状態に小さなワークデスクを足すのではなく、ダイニングテーブル自体を大きいサイズに買い替えることを検討してもよいかもしれません。

 テーブル幅が180センチくらいあれば、テレワークも、お子さんの家庭学習も、もちろん食事のときにもゆったり使えるようになります。家具の数自体は増えないのに、コストはかかりますが、得られるメリットは間違いなく大きいでしょう。

 また、思い切ってダイニングテーブルのセットと、リビングのソファセットを組み合わせた「ソファダイニング」に変えるのもひとつの手段です。大きな家具が減るので、リビングダイニングがぐっと広くなります。

 フリーアドレス化に役立つアイテムとしては、取っ手付きで自立する、かばん型ケースがおすすめです。ノートパソコンや資料などを入れて持ち歩くことができます。