妻の浮気が原因で離婚。突如、5歳の息子との父子家庭になった。手元に残された全財産は90万円。定時退社で保育園へ息子を迎えに行く毎日で、残業代ゼロ。年収400万円で、カツカツの生活だった。
ギリギリの節約生活で、4年で1000万円を貯め、本格的に株式投資を開始。紆余曲折を経ながらも某企業の大株主になり、資産2億円以上を築いた。
いまや成長し、就職した息子とふたりで焼鳥屋に行ったとき、これまでの半生を振り返り、「投資家」と「労働者」の話をした。
離婚して父子家庭になり、全財産90万円から資産2億円以上を築いた父親が、投資術を初公開。いま息子へお金と投資の話を教える『どん底サラリーマンが株式投資で2億円』。
再びどん底へ突き落とされた
ライブドア・ショックが起こった直後、日経平均もTOPIXも値を戻していたので、ホッと胸を撫で下ろして、ランチでのんびりと中華料理を食べていた。
お腹いっぱいになってランチから戻ってしばらくすると、マネックス・ショックが市場を大混乱に落とし入れていたのだ。
自分は手元に現金をほとんど残さないフルインベストメントの投資スタイル。
加えてこの頃は信用取引でレバレッジもかけていたので、このときの暴落には血の気が引くような恐怖を感じた。
慌てて18日に売り注文を出そうとしたものの、東証のシステムが停止したので、それもできない。
勤務中も仕事どころではない。
トイレの個室に籠って携帯の画面に釘づけになり、ネットの情報でわかったあまりの悲惨な状況にめまいがした。
これほどのショックは、2001年の米国同時多発テロ後の暴落以来だった。
ネットで口座にログインしようとしても、アクセスが集中しているのか、なかなかつながらない。
ようやくログインできたと思ったら、画面を確認するたびに資産がみるみる下落していく。
その現実を目の当たりにして、吐き気までしてきた。
自分が持っていた銘柄は、どれも時価総額が小さな「小型株」。
時価総額というのは「現在の株価×発行済株式数」のことで、要するにいくらあれば、その会社を丸ごと買収できるかを示す。
時価総額が小さな「小型株」の銘柄は、相場がパニックを起こして全面安に転じたときは、投資家ほぼ全員が売りに殺到するため、買い手がつかず、株価は下がるばかり。
そんな状態が3日間も続いた。
頭に血が上って正常な判断ができなくなっていたのだろう。
投資家の悪い心理が働き、負けをとり返してやろうと「いまがきっと底値に違いない」と買いに走り、落ちるナイフを素手でつかむように連続で返り討ちにあった。
ライブドアは、プチITバブルのシンボルのような銘柄だった。
そういうシンボリックな銘柄が売られているときは、何をやってもダメなんだと、このときに改めて学んだ。
かくて一時は2億円をゆうに超えていた株式資産は、マネックス・ショック後の数日間で一気に吹き飛んでしまった。
再びどん底へ突き落とされたのだった。