2位には、ヒューリックが平均年収1761.0万円でランクイン。東京23区などの都心部を中心にオフィスビルや商業施設などを保有し、不動産開発・賃貸事業を手掛けている。

 3位はファーストステージで、平均年収は1291.5万円だった。3~5位までの3社は年収1200万円台となっている。

 ファーストステージは、マンション分譲や賃貸・建物管理、太陽光発電などの事業を行う会社で、20年5月に東京プロマーケット(TOKYO PRO Market)に上場している。

 東京プロマーケットとは、東京証券取引所が運営する「プロ向け」の市場である。その名の通り、投資家が誰でも自由に株を取引できる一般市場とは異なり、市場に参加できるのは上場会社や3億円以上の金融資産を持つ個人など、条件を満たした「プロ投資家」に限られる。上場する企業にとっては、ほかの市場のように数値で定められた上場基準を満たす必要がなく、短期に低コストで上場できるメリットがある。

 4位は三菱地所(平均年収1273.5万円)、5位は三井不動産(平均年収1273.4万円)。総合デベロッパーの大手2社がほぼ同じ水準でランクインした。単体従業員数は、三菱地所が903人、三井不動産が1678人(共に20年3月末時点)となっている。特に三井不動産は、トップ5にランクインした他企業と比べると、けた違いに規模が大きい。

 6位には東急不動産HD(平均年収1137.2万円)がランクインした。三菱地所、三井不動産と同じく不動産大手だが、東急不動産HDはグループを束ねる役割を果たす持ち株会社であり、単体従業員数は67人と少ない。

 7位は、プロパスト(平均年収1055.2万円)。分譲・賃貸マンションの開発を行う企業だ。

 8位は、不動産運用事業を手掛けるいちご(平均年収1020.4万円)となった。年収が1000万円を超えたのは、以上8社だった。

 今回のランキング対象期間(2019年12月期~20年11月期)においては、まだ新型コロナウイルス感染拡大の影響が業績に表れていなかった企業も多かった。コロナ下では、事業の形態によっては大きな打撃を受けた不動産会社もある。例えば、商業施設は再三にわたって休業を余儀なくされたし、インバウンドの激減によりホテル事業も業績が悪化している。こうした業績への影響が、従業員の年収にどう影響してくるのか。引き続き、注視していく必要がありそうだ。

(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)