米国を先頭に潮目が変化
「景気過熱・インフレ懸念」
日本を除く世界の主要市場ではいま、インフレを巡り議論がにぎやかに展開されている。
その“主戦場”は米国だ。
債券市場の話題は資産買い入れ縮小や利上げの時期の観測で持ち切りとなり、株式市場もその動向に目を光らせている。
米国でインフレが材料視され始めたのは、ワクチン接種の拡大で景気回復期待が強まってきた矢先に、バイデン大統領が主導して民主党単独で1.9兆ドルという景気対策を議会で可決したあたりからだ。
サマーズ元財務長官が「景気過熱・インフレ懸念」の口火を切り、実際に成長が予想以上に加速し始めたことを認識した債券市場で、その警戒感は急速に広がっていった。
年初は0.9%台だった10年債利回りは3月末には1.77%まで上昇、市場には2.0%に接近するのは時間の問題といった警戒ムードも強まっている。
コロナ禍からの経済回復に取り残された日本には新たなリスクが忍び寄る。