ロッテ本社ビル看板Photo:JIJI

ロッテホールディングスの2021年3月期決算は、1000億円超の最終赤字に陥ったことが分かった。07年のHD設立以降、赤字転落は2期ぶりで、赤字幅は過去最大だ。グループの“悲願”である事業会社ロッテの上場に向けて、新たなハードルが立ちはだかる。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

ロッテHDの21年3月期決算は
過去最大1000億円超の最終赤字

 新型コロナウイルスの感染拡大で最終赤字が1000億円超え――。

 菓子大手ロッテなどを傘下に持つロッテホールディングス(HD)の2021年3月期決算の最終損益は、1000億円超の赤字に陥ったことが分かった。07年のHD設立以降、最終赤字の転落は2期ぶりで、赤字幅は過去最大だ。

 ロッテHDは非上場企業で、例年ならば7月ごろに決算公告を公表している。

 だが、6月26日に行われるロッテHD定時株主総会に向けて株主に公開した「連結計算書類」によれば、コロナ禍での韓国事業の不振などにより、21年3月期の連結売上高は前期から1兆2394億円減の5兆498億円。親会社株主に帰属する当期純損失は1012億円を計上した。

 株主総会を経て、ロッテHDの重光昭夫会長兼社長は会長職に専念。ユニクロなどを運営するファーストリテイリングや、コンビニ大手のローソンの社長を歴任した玉塚元一氏が新社長に選出される見通しだ。

“プロ経営者”である玉塚氏のミッションは、主に日本での菓子事業などを展開する事業会社ロッテの株式上場とみられている。18年にロッテとロッテ商事、ロッテアイスの3社合併で新生ロッテを誕生させたのは、株式上場を見据えた“布石”とされ、事業会社ロッテの上場はグループの悲願ともいえる。

 ところが、ロッテHDが巨額赤字を出したことで、事業会社ロッテの上場の大義名分が揺らぎかねない事態に陥っている。