元手240万円で老後資金
2000万円確保ための五つのステップ

 ここで老後資金2000万円作戦の概要をお話しします。

(1)長期で複利で雪だるま式に資金を増やす
(2)雪だるまの芯にあたる資金は毎月2万円
(3)節約生活を心がけることでこれを10年間ねん出し続ける
(4)過去一番リスクが小さかったリスク投資商品である米国株インデックスに全額投資
(5)30年後に元本240万円が2000万円に増えていれば大成功

 一応、過去120年間においては、だいたいこの作戦がうまくいきました。その事実に賭けようという戦略です。

 実は、ちゃんとしたファイナンシャルアドバイザーは投資に関してはこの正反対のアドバイスをします。リスクを避けるために分散投資を推奨する。3分の1は安全な国債に、3分の1は日本株の投資信託に、そして3分の1は不動産REITにしましょうというのが教科書に書かれている基本です。しかし、それだと私が計算してみると2000万円には絶対に届かない。

 そもそも国債は安全かもしれませんが、低金利でまったく増えません。日本株投信は日本経済が成長すれば増えますが、日本経済にはこの先成長しないリスクがあります。不動産REITは過去は安定して収益を上げてきましたが、コロナでリモートが増えた今の状況で、これから先、オフィスの賃貸収益に頼るのはリスクがありそうです。

 つまり、過去一番良いといわれた教科書通りの投資手法は、今はとてもリスクがある投資方法だと考えるべきなのです。かつ、それでもその投資戦略がうまくいって仮に年4%のリターンが確保できたとしても、元手が240万円の人には30年後の2000万円には手が届かない。

 そもそも私の仲間のような、安定を捨てて不安定だけれどもやりたいことができる人生にチャレンジしている人が老後資金を用意する理由は、国のセーフティーネットが崩壊するリスクがあるからです。誰でもそうなのですが、日本が順調に経済成長してくれれば最悪、生活保護費を受給することで生きていくことができるでしょう。

 しかし問題は、今から30年後の未来では年金も医療保険も生活保護も崩壊しているかもしれない。そのときに自分が生き抜くために2000万円を用意しようというのが、この教室の主眼です。だから日本株ではなくアメリカ株に投資すべきなのです。