大型買収を続けた結果、巨額の有利子負債を抱える「大借金王」の武田薬品工業には、“リスク批判”が常に付きまとう。国内大手製薬では悪目立ちしているが、世界基準に物差しを変えれば見方はがらりと変わる。特集『決算書100本ノック! 2021夏』(全10回)の#6では、武田薬品が批判を受けても平気な理由を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
「5兆円企業」をゴールに掲げた
外国人CEO、前半戦の通信簿
武田薬品工業の目下のポジションは、大型企業買収を重ねた結果、「大借金王」である。
その武田薬品の2021年3月期決算は売上高3兆1978億円、営業利益5093 億円(営業利益率15.9%)、純利益3760億円(純利益率11.7%)と、製薬業界では平凡な数字だった。
15年に武田薬品工業のCEO(最高経営責任者)へ就任したクリストフ・ウェバー氏は少なくとも25年までは経営に関わることを表明しており、最短で退任するとすれば21年3月期決算は折り返し地点だった。このタイミングでウェバーCEOは、現状の1.5倍にあたる「31年3月期までに売上高5兆円企業」をゴールに掲げ始めた。
経営の独自色が存分に出てきた前半戦終了時点の通信簿はどうだったか。
またウェバーCEOら経営陣は「大借金王」批判を意に介さないように見えるが、その理由は何なのか。