年金の加入先は職業に応じて異なる。(1)自営業やフリーランスの人などは「国民年金」、(2)会社員や公務員は「厚生年金」。そして、(3)会社員や公務員に扶養されている配偶者は、「第3号被保険者」として国民年金に加入する。今回、厚生労働省が発表したのは、(1)の国民年金の保険料の納付状況だ。

経済的に厳しい人を救済する
納付猶予・申請免除制度とは

(2)の厚生年金の保険料は、所得に応じた保険料を労使折半で負担する。自己負担分は給与から天引きされ、会社負担分と合わせて、勤務先がまとめて納付してくれる。また、(3)の第3号被保険者は保険料の負担はなく、加入手続きは配偶者の勤務先が行う(以前は、手続き漏れによって未納期間が発生したこともあったが、救済措置が施され、過去に起こった第3号被保険者の未納問題は解消している)。そのため、会社員や公務員、その配偶者は、保険料の未納が発生することは、まずない。

 一方、(1)の国民年金は、自営業者やフリーランスの人、非正規雇用の労働者などが加入するもので、自ら保険料を納めなければならない。保険料は、所得に関係なく一律で、2021年度は月額1万6610円。低所得の人にとっては、負担の大きなものになっている。生活するのに精いっぱいで、年金保険料まで手が回らないという人もいる。

 そこで、所得が低かったり、失業したりして、経済的に苦しく、保険料の納付が難しい人のために用意されているのが、納付猶予や申請免除という救済制度だ。

●納付猶予
 失業したり、収入が減少したりして、本人と配偶者の前年の所得が一定以下の場合に、本人の申請によって、保険料の支払いを一定期間待ってもらえる制度。利用できるのは、50歳未満の人。
 猶予が認められると、その間は保険料を納めていなくても、受給資格期間にカウントされ、障害年金と遺族年金は受給できる。ただし、保険料を納めていない期間は、老齢年金の受給額には反映されない。

●申請免除
 本人・世帯主・配偶者の前年の所得が一定以下、または失業などによって、経済的に苦しい場合に、本人が申請すると、保険料の納付が免除される制度。免除額は、所得に応じて、「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類がある。
 免除を受けた期間は、受給資格期間にカウントされるので、老齢年金、障害年金、遺族年金のいずれも受給できる。ただし、老齢年金の受給額は、免除額に比例して減額されるので、満額の老齢年金を受け取ることはできない。

 こうした救済措置があるのに、何も手続きしないで保険料を滞納してしまうと、老後の年金だけではなく、病気やケガで働けなくなった時にもらえるはずの障害年金、死亡時にもらえる可能性のある遺族年金の受給権も失うことになる。経済的に苦しい時は、積極的に納付猶予や申請免除を利用して、年金の受給権を確保しておくのが鉄則だ。