特に、こなす役割の多いワーキングマザーは、母親だから、会社員だから、妻だからといった「○○だから」「○○であるべき」論に囲まれやすい。その結果、他人の価値観や自分の思考のクセで物事を判断する機会が多くなる。文化や他人の考え方はコントロールできないため、せめて自分の思考グセには注意したい。

 自分の思考グセに気がつくためには、「事実」と「感情」を切り分けるとよい。「起きた出来事」と「感じたこと、考えたこと」を分けて紙に書いてみよう。すると、たった一つの事実に対して解釈や感情が複数生まれていることに気づけるはずだ。

 例えば、「同僚に無視された」という事実に対し、「以前もワーママが嫌いと言っていた同僚だ」「私がワーママだから嫌いなんだ」と思ったとする。この中で事実は「同僚に無視された」だけだ。その他の感情や解釈はすべて、自分の頭がつくりだしている。

 紙に書くと、起きた出来事に対して、「その考えは本当なのか」「その事実は果たしてそうなのか」「相手は本当にそう思っているのか」などと、冷静に判断できる。紙に書き出すというひと手間をかけるだけで、ぐっと生きやすくなるだろう。

◇サードプレイスを持つ

 ワーキングマザーは、一生ワーキングマザーでいつづけるわけではない。あなたの肩書は、時間の経過とともに変わっていく。人生を長期目線で見て、個人で所属する場所をつくっておこう。

 欧米では、本業と全く関係のない場所を「サードプレイス」と呼ぶ。その定義は、「義務や必要性に縛られず、自らの楽しみや心の向くままに行動できる場所」だ。サードプレイスを持つと、視野が広がり、個人力が上がる。著者自身、サードプレイスを持つことにより、ストレスマネジメントができるようになった。

 目安は、3~5つの居場所を持っておくこと。そうすれば、ある場所で嫌なことがあったとしても、心のバランスがとれるし、別の場所での経験からヒントを得られるかもしれない。

 サードプレイスを選ぶ基準は3つある。緩く細く長く続く場所であること、多様な考え方を持った人たちが存在していること、心理的安全性があること、だ。できれば仕事と全く関係なく、気を遣ったり、人間関係に疲れたりしない場所であることが望ましい。