初めての射精は精通と呼ばれ、11歳~13歳頃に経験する人が多いが、かなり個人差があり、早い人は9歳、遅い人は20歳近くになってからというケースもある。眠っている間に起こる射精を夢精というが、精通が夢精で起こることもある。

「思春期には体全体の変化に伴い、内性器、外性器が発達し、生殖器としての機能が備わってきます。女子は排卵・月経が始まり、男子は射精が始まりますが、何も知らずに精通を夢精で経験すると、びっくりして一人で悩んでしまう人もいます。前もって知識があれば、『ああ、これがそうか!』で済むので、学校や家庭で事前に知っておくことは大切です。もしも自分の子どもに射精のことを教える場合は、思春期が近づいたら、父親からの方が良いでしょう。自分の経験を思い出せる人は、そのことも話したらいいですね」

 村瀬氏は、親から子どもに教える際、「絶対に性器や精液を『汚いもの』として扱わないこと」と注意する。親が「汚いもの」として扱ってしまうと、子どもは自分の体を肯定的に受け止められず、性行為に対してネガティブなイメージを持ったり、性や女性に対する見方や考え方がゆがんでしまうことがあるという。そうならないためにも、精液を「不潔視」してしまう原因を知ることが重要だ。村瀬氏は、射精を汚いと感じる原因を、以下の3つにまとめている。

【精液を「不潔視」する3つの原因】
(1)白っぽくてネバネバしているから     
→精液が白っぽくてネバネバしているのは、果糖の結晶・抗炎症物質・酵素などが含まれているから
(2)オシッコと出口が同じだから       
→オシッコと出口が同じだが、射精のときには膀胱の出口が閉じるため、精液とオシッコが混ざることはない
(3)射精するときの快感を後ろめたく感じるから 
→性器や性を不潔視する言葉を繰り返し耳にして、「不潔なもの」と意識してしまっている

 村瀬氏はこの「不潔視」を「百害あって一利なし!」と断じ、「自分の性器の快い感覚を受け入れることは、自己肯定感を高めることにつながる」と話す。

「おまた触ったらばっちいよ!」「精液がついたパンツは汚いからそのまま洗濯機に入れないで!」などと子どもに言っていないだろうか。性や性器に関しては、「きれい・汚い」ばかりでなく「素晴らしい」「特別な」など、価値観に関わる言葉やからかいの言葉は使わないよう注意したい。

 2014年、東京都中学校性教育研究会が行った「東京都中学生の性実態調査」によると、「初めての射精・月経があったのはいつですか」という問いに対し、女子は95%が中学3年生までに初経を迎えている一方、中学3年生までに精通を迎えた男子は49.2%だった。そしてこの問いに対し、「質問の意味が分からない」と答えた女子は1割に満たなかったが、男子は3割に上った。

 中学3年生であれば、保健体育の授業で学んでいるはずだ。これは、中学3年生までに精通を迎えた男子が半数以下だったことを差し引いても、男子への性教育の不足や仕方の問題を浮き彫りにした結果だといえる。