20万部のベストセラー待望のマンガ版『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』が発売された。前作で「転職は悪」という風潮に一石を投じ、日本人の働き方を変えた北野唯我氏が、今回は「自分にはキャリアの武器が何もない」と思っている主人公の奈美(もうすぐ30歳)の悩みに答えを出す。「やりたいことがなければダメ」「S級人材以外は有利な転職は無理」など転職の常識が次々と覆される。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
市場価値と社内評価は一致しなくていい
本来であれば、「市場価値」と「社内の評価」は一致しているほうがいいです。
なぜなら、市場価値と社内評価が一致しているということは、いつでも転職可能で、どこででも働ける人だという証明になるからです。イメージは、グローバル企業で働いているような人たちでしょうか。市場評価と社内評価が一致している人たちのいる業界は、転職やヘッドハンティングも盛んで、流動性が高い。
一方で日本の会社で働いていると、実際のところ、社内での評価が高いけれど、市場で評価されない人というのが、かなりの数、存在します。
たとえば、「営業部のA課長は、こういう根回しをしてから提案すると企画が通りやすい」とか、「難しめの話は機嫌の良い昼食後を狙えばいい」とか、ちょっとした社内におけるコミュニケーションのコツのようなものがあります。これもまた、日常業務を進めるうえでは結構重要なことだったりするので、うまく立ち回れる人は、「あいつはデキる」と評価されたりします。とはいうものの、転職をするときには、そのコツ自体は何も役立ちません。
逆に、今いる会社でパッとしない存在だとしても、市場に出たときに価値が高いという人もいます。それは、配置されている場所(ポジション)が悪いだけで、ポジションがピタッとハマれば、活躍できる可能性があるからです。
実は、私のチームで活躍するデザイナーの女性は、総務職を希望して面接に来た方です。専門学校でデザインを学んだ後、デザイナーとして約10年働き、出産を機に、時短で働ける事務系の仕事に就いていたそうです。でも、面接時の印象ではデザインの仕事が好きで、実力もありそうだったので、デザイナーとして採用しました。
彼女は今、面接のときにこちらが期待していた以上の成果を出してくれています。何よりうれしかったのは、入社して3ヵ月くらいたった頃、「私、やっぱりデザインの仕事を愛していました。楽しいです!」と言ってくれたことです。その人にとって輝ける職場があるということを実感した瞬間でした。
もし、あなたが今、社内での評価が低かったとしても、転職を諦める必要はまったくありません。会社の外(マーケット)を見てください。
(※この記事は、『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』からの抜粋です。)