なぜアフリカで食料不足が起こった?

 1970年代になるとセネガルでは落花生の栽培が拡大していきます。これは落花生がマメ科の植物であり、栽培することで地力の回復が期待できること、外貨獲得手段として輸出用落花生の栽培を政府が推奨したことが主因です。

 土壌微生物である根粒菌(こんりゅうきん)は、マメ科の植物などの根に根粒(植物の根にできるコブ)を作ります。

 根粒は大気中の窒素をアンモニアに変換し、この働きが土壌の肥沃度を上げてくれます。アメリカ合衆国のトウモロコシ地帯(コーンベルト)で大豆も同時に栽培しているのは土壌の肥沃度を回復させる目的があるからです。落花生と同様にカカオ豆やコーヒー豆といった農作物の栽培も拡大しました。

 しかし、落花生のような換金用作物の栽培を優先させた結果、自給用穀物の栽培があまり肥沃ではない土地で行われるようになり、生産性が悪くなって食料不足を引き起こすようになりました。

 また落花生ばかりを栽培していることもあって、連作障害を引き起こし、耕作が困難になるなどの問題が生じるようになりました。

 こうした特定の農作物の栽培に傾注するプランテーション農業は、市況の影響を強く受けるため収入が不安定となりやすいなどの弱点も持ち合わせます。

(本原稿は、書籍『経済は統計から学べ!』の一部を抜粋・編集して掲載しています)