4月1日、三井住友海上火災の新社長に舩曵真一郎氏が就任した。舩曵新社長は、18年からグループ全体のデジタルトランスフォーメーションを推進するグループCDOとして頭角を表していた。新型コロナウイルス感染症のまん延や自然災害の増大など、損保業界を取り巻く環境が激変している中、新社長としての意気込みに加え、グループが抱える課題の認識について話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
気候変動が全ての経営戦略を
考える起点になる
――損害保険会社が置かれている事業環境をどのように見ていますか。
気候変動による自然災害リスクの増大は、損保会社が直視すべき現実であることは言うまでもありません。火災保険は実に過去10年間赤字が続いており、2020年度も赤字となれば11年連続となります。頂いた保険料から保険金をお支払いして、再保険金を回収してもなお、赤字なのです。
今、自然災害リスクを引き受ける火災保険事業は岐路に立っています。21年1月に保険料を値上げしましたが、これはすでに事業としてごまかせない状況になっているということです。損害保険会社として、この課題を避けて事業の本質はお話しできないと思っています。
もちろん、自然災害が増大する中で、単に保険金を支払うだけではなく、保険会社の持っている情報やデータを駆使して、減災や防災、あるいは事故があった場合の復旧にどのように寄与できるかにも取り組んでいきます。