世界の「今」と「未来」が数字でわかる。印象に騙されないための「データと視点」
人口問題、SDGs、資源戦争、貧困、教育――。膨大な統計データから「経済の真実」に迫る! データを解きほぐし、「なぜ?」を突き詰め、世界のあり方を理解する。
書き手は、「東大地理」を教える代ゼミのカリスマ講師、宮路秀作氏。日本地理学会の企画専門委員としても活動している。『経済は統計から学べ!』を出版し、「人口・資源・貿易・工業・農林水産業・環境」という6つの視点から、世界の「今」と「未来」をつかむ「土台としての統計データ」をわかりやすく解説している。
少子高齢化を逃れる「合理的」な考え方
少子化によって、老年人口割合は上昇します。中国は1979年より「一人っ子政策(2016年に廃止)」を開始したことで出生数が減少し、徐々に老年人口割合が増加しました。
中国の老年人口割合は1990年に5.6%でしたが、2019年には11.5%にまで上昇。特に2010年以降の上昇幅が大きくなっています。
逆に、出生数が多い発展途上国では老年人口割合は低い傾向にあります。これらの国は労働集約的な農業が主産業であり、子どもが労働力として期待されることから、出生数が多く、相対的に老年人口割合が低くなります。
アラブ首長国連邦(1.2%)やカタール(1.5%)、バーレーン(2.5%)、クウェート(2.8%)の4ヵ国は、老年人口割合が低い国として有名です。
しかし、合計特殊出生率はアラブ首長国連邦(UAE)1.41、カタール1.87、バーレーン1.99、クウェート2.08にすぎません。人口維持に必要とされる2.1を下回っており、周辺の中東諸国と比較すると低い傾向にあります。
これらの国は産油国であり、石油産業に従事する外国からの出稼ぎ労働者が多いことで知られています。