ジャブジャブに溢れている
投資マネーが逆流

 各国は住宅価格の高騰に警戒感を持ち、過熱する市場を冷却させる策を打ち出すようになってきている。

 不動産ブームに最も冷や水を浴びせ得るもの、それは米国のテーパリング(量的緩和の縮小)と利上げである。テーパリングで中央銀行が国債などの資産の買い入れを減らしていき、その後に利上げが行われる。

 米国の中央銀行に当たるFRB(米連邦準備制度理事会)のテーパリングは、早ければ年内か2022年初には始まるという見方が強い。

 余った投資マネーが行き着いた先が不動産である。テーパリングと利上げにより、ジャブジャブに溢れていた投資マネーが逆流し得る。米国に続いて日本でも超低金利が終了すれば、投資物件から得られる利回りと借入金利の差でもうけるうまみがなくなり、さらに投資マネーは引き揚げられ得る。

 振り返れば、ホテル不況はコロナ禍だけが原因ではなかった。それ以前からインバウンド需要を当て込んだ過剰な建設によって需給がだぶついていた。熱狂の中にいると、人の目は惑わされる。

 熱狂は、いつか冷める日が来る。それが売り時の終わりを告げる瞬間だ。