話の「デリバリー」で
いかに相手をひきつけるか

 今日では、飲食店の料理のデリバリー(配達・出前)サービスが盛んになりましたが、セミナー講師の間では、相手に何かを伝えることを、「デリバリー」という言葉で表現します。「あの講師はデリバリーがうまいよね」とか、「あの人のデリバリーは少し単調だね」というように使うのです。

 この「デリバリー」は、「言語的表現」(言葉によるデリバリー)と「非言語的表現」(態度や声のトーンなど、前の項の「言語外情報」を使ったデリバリー)のふたつに分けられ、前者を「バーバル(言語的な)デリバリー」、後者を「ノンバーバル(非言語的な)デリバリー」と呼びます。

 では、この「バーバルデリバリー」と「ノンバーバルデリバリー」で、それぞれどう相手をひきつけられるのかを実際に見ていきましょう。

■「バーバルデリバリー」で相手をひきこむコツ

【声の大きさ】
 一般的に声は大きいほうが、自信があるように見えます。企業のリーダーはたいがい声が大きいもの。とくに、リモートで仕事をする機会などでは、声が小さくて相手の声がよく聞こえないと、もうその段階でアウトということにもなりかねません。

【声のトーン】
 声のトーンは高いほうが、相手に明るい印象を与えます。とりわけ挨拶などは、ドレミの「ソ」の高さを意識して声を出すといいでしょう。自分の声の高さをこれまで考えたことがないという方は、一度、自分の話す声を録音して聞いてみてください。

【声のスピード】
 相手をひきこむには、声のトーンとスピードに変化をつけることが肝心です。かつて電話営業をしていたとき、「今、忙しい!」と言われて、「失礼しました。お忙しいですよね」と相づちを打ったあとで、グッと声のトーンとスピードを落として、「ところで、『忙しい』って漢字でどう書くかご存じですか?」と聞いたことがあります。