ゲームセンターはシニアの遊び場に
平日昼間のカラオケ客の6割がシニア
「ゲームセンターは若者の行くところ」──こんな常識も覆りつつある。ゲームソフトメーカー大手のカプコンは、2012年4月に20店のアミューズメント施設「プラサカプコン」でシニア向けの「ゲームセンター無料体験ツアー」を初めて開催し、延べ330人を集めた。一部店舗では50歳以上の会員向けに現金と引き換えに渡すメダルの量を2割増やすサービスを始めたところ、6月時点で1200人を超える会員が集まった。
カラオケ店も、もはや若者の場所ではなくなっている。それどころか、平日昼間はむしろシニアが主要顧客になりつつある。業界最大手のコシダカでは、平日昼間は来店客の多くが60歳以上のシニアで、店舗によってはシニア客の割合が6割を超えるところもあるという。
皆さんには、ここまでの話で従来常識だと思っていたことがいかに覆りつつあるか、おわかりいただけただろうか?これらの劇的な変化は、すべて人口の年齢構成が若者中心から高齢者中心へシフトする「シニアシフト」に起因するものだ。実は、これまで挙げた例は氷山の一角にすぎない。シニアシフトの流れは、あらゆる産業に加速度的に広がりつつあるからだ。
2つのシニアシフト
「シニアシフト」には2種類ある。1つは、「人口動態のシニアシフト」。これは、人口の年齢構成が若者中心から高齢者中心へシフトすることだ。もう1つのシニアシフトは、「企業活動のシニアシフト」。これは、企業がターゲット顧客の年齢構成を若者中心から高齢者中心へシフトすることだ。
2012年に目立ったのは、実はこの「企業活動のシニアシフト」だ。私が知る限り、いま、この「企業活動のシニアシフト」が最も先鋭化している国は、日本である。これは裏を返せば、これまで「人口動態のシニアシフト」が、時間の経過とともに粛々と進行していたにもかかわらず、「企業活動のシニアシフト」は、一部の企業と業種を除いて取り組みが遅れ気味だったからだ。それが、ようやく本気モードになってきたのだ。