ひとりでもすぐに業務改善できる

――まさに、どうしたら効率よく東大へ行けるかを突き詰めているような話でした。

寺澤:もちろん、受験とビジネスは同じではありません。ただ、業務効率化の余地はまだまだあると私は思っています。

 経営陣やマネジメント層は現場の数字を見て、より事業がうまくいくように判断するのが仕事ですよね。効率よく、低コストで、大きな利益が得られるような決断をしたり、戦略を考えたりします。

 そのジャッジの源となるのが、現場の人が作ったデータや資料です。しかしその資料を作るのにとんでもなく時間がかかっている。それだけコストがかかっているということです。

 私が業務改善をエクセルでやっていると、「今どき、エクセルで改善かよ!」「もっと抜本的な改善が必要でしょ」と言う人も多い。

 エクセルとは異なる大掛かりなシステムを導入するだけの予算があるところは、それで改善すればいいと思います。あるいは、地味な事務作業ではなく、もっと大きな業務オペレーションを改善できる立場にいる人はそれをやればいいと思います。

 でも実際には、そんな大層なシステムは導入できず、組織的な改善ができるような立場でない人がほとんどです。目の前の事務作業を日々、真面目にこなしている人がほとんどではないでしょうか。だからこそ、そういう人たちの業務が改善されれば、大きな効果が出ると私は思っています。

 エクセルマクロがすべてではありませんが、みんながないがしろにしがちな地味な事務作業を本気で効率化したら、日本の生産性は二倍になりますよ。

 その一歩目として、日々エクセルを使って仕事をしている人にはマクロという存在を知ってほしいですね。

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第1回 めんどうなエクセル仕事から解放!「一瞬」で「ミスなく」作業が終わるエクセル効率化の秘訣とは?

「エクセル仕事」を見れば「ただ真面目」か「優秀」なのかがわかる理由寺澤伸洋(てらさわ・のぶひろ)
1976年、大阪府生まれ。灘高校、東京大学経済学部卒業後、日系メーカーで17年間勤務。経理や営業、マーケティング、経営企画などに携わり、独学で覚えたエクセルマクロを用いて様々な分析や業務改革を行う。2017年、GAFAの日本法人のうちの1社へシニアマネージャー(部長)として転職。これまでエクセルマクロを用いた業務改善などで数多くの社内表彰を受けている。手作業では不可能なほど大量のデータを、短時間で分析しやすく加工したことが評価され、社内エクセルマクロ講習会の講師として延べ200人以上に講座を実施。エクセルマクロについて1から10まで教える詰め込み型の学習ではなく、仕事に必要な部分だけを効率的に学べる講座として満足度98%の高い評価を受けている。
「エクセル仕事」を見れば「ただ真面目」か「優秀」なのかがわかる理由