組織に元気を取り戻すには
制度・体制のアップデートも必要

 冒頭の話は「若手に元気がない」というものでしたが、元気のなさに世代は関係ないのかもしれません。私たちの世代でも職場で大変な思いをしている人、元気のない人、自信のない人は大勢います。我々50代より上の世代では、バブル景気のおこぼれにあずかって、何とか勝ち逃げできたという人も多いはずですが、その余力で社会や職場の課題を解決しようとか、独立するなどして自分が決断したことを頑張って進めていこう、とかいう人は多数派ではない気がします。今の日本では、どの世代でも元気な人とそうでない人がいて、元気ではない人の方がマジョリティーなのです。

 そんな中でも、経営環境やテクノロジーは常に変化していきます。したがって、組織においては、人材や組織の設計をアップデートし続けなくてはなりません。しかし、実際にはアップデートされないままの採用・評価制度や組織体制が残っています。「このままではいけない」と気づいている人は、ジョブディスクリプション(職務記述書)や成果主義・業績主義を組織に取り入れようと努力していますが、社会全体としては追いついていないのが現状です。

 もうひとつ、海外でもそうですが、日本では特に職場における同調圧力が強く働くという事情もあるように思います。たとえば上司や同僚からの提案に対して、チーム全体の雰囲気が肯定、または否定のどちらかにいったん傾き始めると、仮にそれが間違っていたとしても異を唱えるのが難しいというケースがよくあります。

 そうしたときに、真面目な人が正確な情報を調べて反論したとしても、よほどコミュニケーションに長けた人でない限り、チームでは面倒な存在と見なされがちです。そればかりか「和を乱す人」として、組織から阻害されることもあります。