東証再編#11Photo:AFLO

地方に拠点を置く東証1部上場企業は、その地域の消費や雇用を支える地方経済の要だ。だが、そんな地方の“名士”たる企業にも、容赦なくプライム落ちの危機が迫る。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#11では、各地方で繰り広げられている、絶対に落ちることができない戦いを追った。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

プライム落ち危険企業は
各都道府県に何社あるか

 東京証券取引所の再編は、地方自治体にとっても一大事である。

 地方の東証1部上場企業は、その地域で最も大きな雇用の受け皿であることがほとんどで、従業員による日々の消費により地域経済が形作られている。税収も然りだ。

 そんな地域経済の核となっている地方の1部上場企業が、もし東証再編で、最上位市場のプライムに上場できない「プライム落ち」となったらどうなるか。

 TOPIX(東証株価指数)から外れることになり、それまで調達できていた資金が絶たれる。さらに、「1部上場だからこそ、若くて優秀な人材が採用できる」と多くの1部上場企業が認める、採用面での効用が消える。こうした状況が企業の成長鈍化や業績低迷につながり、地域雇用に悪影響を及ぼすかもしれない。

 各地方におけるプライム落ちは、地域経済の衰退に直結することになり、地方自治体にとって良いことは一つもないのだ。

 本特集#2『東証プライム市場「転落間際」の300社リスト、流通時価総額100億円で門前払い』で、プライム上場基準の一つである「流通株式時価総額100億円以上」を満たせない企業を抽出し、「流通株式時価総額ワースト300ランキング」を掲載した。

 この300社は、プライム落ちの可能性が極めて高い企業だが、300社を本社所在地で分類し、各都道府県の1部上場企業のうち、何社がプライム落ちの危機にあるのかを調べた。東証再編が、地域経済の衰退に直結しやすい都道府県を浮かび上がらせたのだが、そこで出てきたのが、奈良県と島根県だった。