プライム市場への移行を目指す中堅・中小企業を悩ますのが、市場での売買代金という基準だ。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#10では、投資家からの注目度が低く、基準を満たせない東証1部企業277社をリストアップした。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
マーケットに存在する必要がない!?
中小企業を悩ます「売買代金」の壁
「自社株買いをやると発表した。第2弾の手を打つことも考えているが、これで流通量が増えなければ、『おたくの会社はマーケットに存在する必要がない』と言われたようなものだ」
都内に本社を構えるある中堅企業の社長は、こう悲壮感たっぷりに株価対策について語る。東京証券取引所の1部に上場しており、来春から新設されるプライム市場への移行を目指すが、「ある数字」が立ちふさがっていた。
市場での1日平均売買代金0.2億円以上――。東証がプライム市場の上場維持基準として設けた項目の一つだ。すでに1部に上場している数多くの企業は、この項目が未達であるためにプライム市場への移行を“門前払い”されている。
売買代金は、株価と売買数を掛け合わせて算出される項目だ。売買代金の少なさは、単純に株価が安い場合と、市場で売買される数が少なく流動性が低い場合の二通りを意味している。
売買代金の多寡は、マーケットにおける資金の集中度合いの裏返しでもある。相対的に売買代金が少ない企業は、投資家からの人気も低いといえる。
さて今回、ダイヤモンド編集部では東証が開示している方法に基づいて、上場企業を対象に平均売買代金を算出した。すると、冒頭の中堅企業を含め、プライム市場への移行基準である0.2億円に未達の企業が277社あることが分かった。
さらに、売買代金が低い順にワーストランキングを作成した。早速、次ページからその中身を総チェックしていこう。