本業悪化でも黒字、過剰債務が急増…
激変した“危ない”企業のチェックポイント
一つ目は、「減収増益」企業の急増だ。東京商工リサーチが約3.9万社の21年3月期の決算を分析したところ、大企業(資本金1億円以上)、中小企業共に約7割の企業が売上高を前期よりも落とす「減収」になった。一方で、利益が前期を上回る「増益」企業の割合は、大企業が前期から9.1ポイント上がり53.9%、中小企業も同5.0ポイント増の49.5%と、減収増益の傾向が強まっている。
コロナ支援の補助金や給付金などに加え、不動産など資産売却に着手して特別利益を計上したことや、交際費や出張費などのコスト削減が進んだためだ。
決算書上では黒字が拡大していても、本業が悪化した企業は増えている。取引先の最終利益にとらわれず、どうやって利益を確保しているかをチェックするべきだ。
二つ目は、「現預金の増加」に目を奪われないことだ。取引先の手元の現預金が増えたからといって、支払い能力は大丈夫だと安心することは早計だ。
というのも、無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの資金繰り支援策が充実したことで、負債が急増して過剰債務になった企業が増えているからだ。
東商リサーチが8月に中小企業約8000社を対象に実施した調査によれば、「過剰債務」と回答した企業は35.7%。実に3社に1社が過剰債務に陥っている。