『週刊ダイヤモンド』

 果たして現在、マンションは買い時なのでしょうか。

 「マンション価格はまだまだ下がる」「マンション市況の回復にはもうしばらく時間がかかる」という見方は、今なお少なくありません。

 確かに、新築マンションの売れ行きは、ここ数年下落の一途をたどっています。2009年は、全国で7.9万戸と17年ぶりに8万戸割れとなりました。

 昨年は大量の在庫を抱えたり、経営破綻したマンション開発会社が格安で売り払った物件を他のマンション会社が買い取って再販する格安物件「アウトレットマンション」も大量に出回りました。

 ところが最近は、市場に明るさも見えつつあります。東京や横浜では、モデルルームに行列ができるマンションが次々と出始めているのです。

 不動産シンクタンクなども「秋以降には本格的に市況が回復し、2010年は新規発売戸数が増加に転じる」と、予測しています。

 さらにマンション業界では、“マグマ説”と呼ばれる需要の爆発説がささやかれています。ここでいう“マグマ”とは、もちろん火山のマグマではありません。マンションが欲しくても市況が悪いために、買い控えをしていた潜在顧客のことです。

 要するに、マンション購入を我慢していた潜在顧客のマグマのように溜まりに溜まっていた需要が、昨今の住宅エコポイントや贈与税の非課税枠拡大といった政府の住宅支援策をきっかけに、「一気に吹き出すのではないか」という期待が高まっているのです。

 ちなみに、近年中古マンションがブームとなっていますが、これも新築マンションの発売が激減していることが背景にあります。

 リーマンショック以降の金融危機をきっかけに、多くのマンション開発会社が破綻しました。生き残ったマンション会社も、新規発売よりも在庫調整を優先したため、3000万~4000万円台の手頃な価格で発売される新築分譲マンションが激減してしまいました。

 その結果、中古マンションを視野に入れて物件を選ぶ人が増えたのが最大の要因です。

 さて、マンション業界が期待するマグマの噴出。つまり、「マンションブーム」の再来はあるのでしょうか。

 マンション会社の動向を見る限り、在庫調整はほぼ一巡しており、今後新築マンションの供給を増やそうとしているのは、明らかです。ただ、活況を呈しているマンションは、東京、神奈川などの首都圏に限られているのが実情です。

 これからのマンション市況はどうなるのか。資産価値が高まるマンションとは何か、資産価値を高めるにはどうしたらよいか――。様々なテーマについて、ランキングやチェックリスト、綿密な取材により、多方面から検証しています。

 当然ながら、話題の中古マンションの購入方法についても触れています。
 特筆すべきは、フロント担当者、あるいはフロントマンと呼ばれるマンション管理会社の営業担当者による覆面座談会です。

 手前味噌になりますが、「悪いマンション管理組合の典型例」「管理会社が“カモ”にし易い管理組合」「絶対に買ってはいけないマンション」「札束が飛び交う大規模修繕工事」など、あらゆるマンションや管理組合の実態を知り尽くしているベテランのフロント担当者が本音で赤裸々に語る内容は、かなり衝撃的です。

 ぜひ、この特集を失敗しないマンンション選びや、マンションの資産価値向上の一助にしていただければ、幸いです。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 山本猛嗣)